yigarashiのブログ

学んだことや考えていることを書きます

スプリントをやめてゴールに熱中したっていい

最近、自分のチームがやっていて良いなーと思う開発プロセスを紹介します。そのチームにはスクラムで言うところのスプリントがありません。ふりかえりや定点観測のために定例イベントはありますが、そこに向けて何かを計画したり約束することはありません。チームが目指すのはただひたすらに「次のゴール」です。プロダクトの次のフェーズを実現するとか、ある仮説の検証を完了するとか、大きな目標から逆算してマイルストーンを設定して、そこに向けて計画と約束をします。スコープが先にあって締切を決めることもあるし、締切が先にあってスコープを調整することもあります。チームに必要な成果に沿ってリファインメントや計画を進めて、最終的にチームみんなで達成の自信があることを確認して開発を始めます。

このやり方の良いところは、圧倒的にゴール意識が強まるところです。意味的な強度が高いまとまりで開発のフェーズを切ることができるので、次はここを目指すんだぞ!というのが非常にわかりやすいです。締切とスコープの両方を自分たちでコントロールすることで、そこに対する納得感やコミットメントも強まります。スプリントがあると、どうしてもその枠に収めることが優先されてしまって、良いゴールを設定するのが難しいと感じることが多かったのですが、いっそスプリントをやめてゴールのことだけ考えるようにしてみると、これが意外と気持ちよく回るなという感じでした。スクラムの基本から外れることで、逆に確約、集中といった価値基準が強化されているのも面白い体験です。

一方でこのやり方がうまくハマるのは、プロダクトの初期フェーズであることが関係しているようにも思います。やることをコンパクトにまとめやすく、意味のあるゴールを2週間程度で達成できるからこそ、スプリントというタイムボックスをやめても高頻度の検査と適応が実現できています。これが、たとえばどうやってもアウトカムになるには3か月必要であるとか、取り組む仕事が多様になってまとめづらいとか、そういった話が出てくると、スプリントのリズムを復活させたほうが良いかもしれません。