どくうま

読書メモ

猟人日記

作者:イワン・ツルゲーネフ

発表年:1847-1851:22篇。のちに3篇を追加。

 

「二度と出て来ない物件ですよ♪」

 

「じゃあ、買うわ」

 

ペンを取る。

契約書にペンを降ろす。

不動産屋の鼻息だけが聞こえる。

 

「中古とはいえ家が10万円は安すぎだよね・・・」

 

ペンを置く。

 

「乗りかけた舟には、ためらわずに乗ってしまえですよ♪」

 

「やめた」


世には、数多くの格言がある。

 

「乗りかけた舟には、ためらわずに乗ってしまえ」

 

自分でそう思うのは一向に問題が無いのだが、他人からこの格言が出たら、その事を止めた方がいい。わが経験則だ。


格言の主はツルゲーネフ。

代表作、猟人日記。

猟人日記:あひゞき

 

猟人日記は短編小説集。

あいびきは、そのうちの一篇。

これだけが青空文庫にある。


この、あいびきでは色濃く表れていないが、世界でこの小説が評価されているのは、帝政ロシアでの悲惨な農奴の生活を描き出していているところ。

ロシア皇帝アレクサンドル2世が、ロシアの農奴制廃止を決断したきっかけの一つだそうだ。


アレクサンドル2世。

クリミア戦争を戦った皇帝。

戦いは、ロシアと、オスマン英仏など連合国の間で戦われた。


戦いは欧州から極東にまで広がる大規模な戦争だった。

 

英仏連合軍上陸地点

ロシア領。

ペトロパブロフスク・カムチャツキー。

すぐそこが北海道。


1854年3月31日。日米和親条約。日本開国。

9月。英仏連合艦隊が上陸戦。

大きな被害を出して撤退。


1854年10月14日。

日英和親条約。


翌1855年初頭。

英仏連合軍、増援をして再上陸。

だが、すでにロシア軍は逃走した後だった。その他、サハリンや千島列島でも小規模な戦闘が発生したそうだ。


1855年2月7日。

日露和親条約。


1856年3月。

ロシア敗北。パリ条約。


1861年2月19日。

ロシア、アレクサンドル2世により農奴解放令。

 


1868年。

明治元年。

「散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がする」

 

そして日本は、ドロドロの世界に巻き込まれていく。

クリミア戦争は、現代のウクライナ戦争に通じるところもある。そんな歴史を知っておくと、ウクライナ戦争のカタチが見えてくるかもしれない。