NHK クローズアップ現代『“カリスマ”続々登場!ブログ新時代』 を観ました

今夜(5月8日)NHKの「クローズアップ現代」でブログの特集が組まれたようです。
観ながら走り書きでメモを取っていた内容を、簡単に書き綴っておこうと思います。

影響力を持ち始めたブログ

  • 日本国内のブログの数は800万、全世界の3分の1
  • その中でも、月に3万以上のアクセスを集める、信頼を得たブログの書き手を「アルファブロガー」と呼ぶ。
  • しがらみのない(ように思える)文章、等身大の視点で注目を集めるカリスマブロガーには企業のマーケティング担当者も熱い視線を送っている。

紹介されたブロガーなど

  • 「ちょーちょーちょーいい感じ」 保田隆明氏
    • 20万/月のアクセス
    • 3年前まで銀行員、退社して以降はブログ中心の生活に。
    • ブログ上で勉強会を呼び掛けると100人以上が瞬く間に集まり、毎回読者の好評を得ている。
    • 既に9冊の本を出版した。本人曰く「ブログがなければ本を書くことはなかった」
    • ブログを書いている当人には、すごいことをしている感覚はない。「感じたことをネットに書いていると、口コミでいつの間にか広がっていた」
  • 「情報考学 Passion For The Future」 橋本大也氏
    • 2時間半の通勤時間と深夜の時間を利用して書評を書いてきた。
    • これまでブログ上で紹介した書評は800本を超える。
    • 自分の私的な体験も交えた親しみやすい文章が受け、氏の記事に感化されて本を買った読者も多い。
    • 昨年、氏のブログ経由で購入された本は12,000冊以上。氏には100万円を超える手数料が振り込まれた。その全ては新たな本の購入に充てている。
    • 現在、出版社からは週2冊のペースで献本がある。だが自分の気に入った本のみ紹介するというスタンスは今も貫いている。
  • 「ネットコミュニケーションの視点:tokuriki.com」 徳力基彦氏
    • 「「信頼できる」という評価が確立するとブログからブログへ瞬く間に口コミが広がっていく」」
  • 「isologue - by 磯崎哲也事務所」 磯崎哲也氏
  • 「ガ島通信」 藤代裕之氏
    • 今年4月末には、アルファブロガーの連携を探る勉強会を主宰した。
    • 「影響力のあるブロガーがそれぞれの得意分野を持ち寄って連携すれば、実社会の問題を解決する糸口を掴めるのではないか」

佐々木俊尚氏のコメント

  • 番組のコメンテータは現在CNETで「ジャーナリストの視点」を連載している佐々木俊尚氏。
    • 「ここ3〜4年、専門性があり、かつ表現力に優れたブログがよく読まれるようになった」
    • 「情報には直接取材するフェイズ(1次情報)と情報を元に論評/分析するフェイズ(2次情報)があるが、いわゆるアルファブロガーの持ち味は「的確な知見を、いかにわかりやすく世の中に伝えることができるか」というところにある」
    • 「800万以上といわれるブログの中から良いものを選ぶ仕組みは下記のようなものがある。これらを使いこなすことで、玉石混淆の中から玉を見分けるきっかけを得ることができる」
      1. 検索
      2. ランキング
      3. ソーシャルブックマーク
      4. 自分の意見を広く知ってもらうならば、有名なブログにトラックバックを送って意見を問う
    • 「これまではTVや新聞・雑誌で受動的に情報を摂取するしかなかったが、今は検索すればこれまで知ることのなかった考え方に容易に触れることができるようになった。そのなかで信頼を得たブログは、個人が発信するパーソナルな情報であってもマスメディア化する可能性を秘めている。」

口コミマーケティングに注目する企業

  • 家電メーカが30名の著名な女性ブロガーを招待し、新商品を帰り際に手渡す。
    • 狙いは新商品のレビューをブログに書いてもらうこと。
    • 企業の広報担当者「ブログの力は計り知れない」
    • 評価をブロガーに委ねる一方で辛辣な評価が書き込まれる恐れもあるが、それはむろん覚悟のうえ。
    • そこまで企業がブロガーを意識するのは、「ネットの口コミ」で商品を購入するケースが今やTV・雑誌を上回っているため。
  • PR会社 本田哲也氏
    • 「(ブログを使ったマーケティング活動を展開するには)どのブログが影響力を持っているかを知ることが大切だ」
    • PR会社は、膨大なブログを影響力・ジャンルごとに緻密に分類している。
  • 「ONEDARI BOYS(クチコミマーケティングのパイオニア・おねだりボーイズ!)」  いしたにまさき氏
    • 200万/月のアクセス。企業から依頼された商品を紹介するブログ。
    • 現在年間100件の依頼がある。

先進地・米国では

  • ブログを使ったマーケティングが裏目に出る事例が米国では既に出ている。
    • スーパーの駐車場に寝泊まりして全米を横断する様子を紹介したブログがあった。
    • ブロガーは一般の個人であるはずが実際はPR会社ののカメラマンとライターであることが暴露され、PR会社のトップが謝罪に追い込まれた。
  • ハーバード大 デビッド・ワインバーガー氏
    • 「信頼が失われたブログに価値はない」
  • 口コミマーケティングに信頼性を担保しようとする動きが出ている。
    • 「口コミマーケティング」を略語で「WOMMA」と呼ぶ。Word of Mouth MArketingの略。*2
    • 米国には「WOMMA協会」なるものが設立されており、倫理規定を定める動きがある。
    • ただし誰がルールをチェックするか、どのように実効性を担保するか、始まったばかりの試みのため課題はまだ多い。

再び佐々木俊尚氏のコメント

  • ブログは、企業と消費者の垣根を「低く演出できる」ツールでもある。
  • なかでも読者の信頼を得ており、高い広告効果を持つアルファブロガーには企業も注目している。
  • ただし、ブログに「ジャーナリズム」を求めている読者は、ブロガーが企業の広告塔になることを快くは思わないだろう。
  • だから、今は全ての手続きや舞台裏を透明にすること。企業もブロガーをコントロールできないとする覚悟を持つ必要がある。
  • ブログがこれからも拡大することによって、人間の社会はよりフラットになっていくだろう。今、その先を見据えなければならない時期に来ているのではないだろうか。

あまりにミーハーな感想など

*1:おそらくこの記事。isologue - by 磯崎哲也事務所:日興コーディアル上場維持決定!

*2:「WOMMA」という言葉は初めて知りました。簡単な概要は「iビジネスのあっち側。: WOMMAって何?」に書いてありました。