大人のためのピアノ入門(1)


最近、ピアノを始めてみようという人が増えている。ニコニコ動画に刺激されて、流行歌などを聴いて即座にアレンジして即興で弾いたり、譜面を起こしたり出来るようになりたいと思う人もいるだろう。


ピアノは子供のころからやっておかなければ習得するのが難しいと思われているが、プロのピアニストになるつもりでなければ大人になってから始めても全然遅くはないと思う。


ここでは、大人が最短かつ最速でピアノが上達する方法を考えていく。


一概にピアノが弾けると言っても、レパートリーが数曲しかないのでは恥ずかしい。どうせなら、譜面を見てすぐに弾けるようになりたい。よって、初見弾きの能力を極限まで高めることを一つの目標とする。


子供は社会人に比べるとずいぶん時間に余裕があり、記憶力・学習能力ともに大人とは比べ物にならない。大人がいまからピアノを習い始め20年継続したところで、ピアノ歴半年の幼稚園児にも勝てないかも知れない。それが現実である。


しかし、勝てないなりにも効率的に習得したい。子供は興味のないことは持続できないが、大人にはそれなりの忍耐力がある。(はずだ) だから、どんなつまらない練習でも耐えられるし、子供よりは明確のビジョンを持ち、訓練の意義について深く理解しているので、どんな単調な訓練であっても継続できると最初に仮定しよう。また、子供は難しいテキストは読めないが、大人はどれだけ難解な理論書でも読めると仮定しよう。


また、大人は仕事の都合、レッスンを決まった時間に習うのは難しい。また練習時間も週によってはきっちり確保できない。そこで、独学である程度のところまで習得しなければならないと仮定しよう。


これらの仮定のもとに、どうやれば最大限の効率を叩き出せるのかを考えてみた。


■ 入門用の楽譜

標準バイエルピアノ教則本  全音ピアノライブラリーブルクミュラー25の練習曲  全音ピアノライブラリー


最近では、「バイエルをいまだに使っているのは日本の悪しき音楽教育の伝統であり、もっと子供の興味をひく効果的な練習のできるテキストを用いたほうが良い」という意見をちらほら見かける。(例:おとなのピアノ独学のすすめ―ぼくはこうして「英雄ポロネーズ」をマスターした)

確かにそういう意見にも一理あるとは思うが、バイエルはいわば枯れているので、指導者用のテキストも充実しているし、MIDI形式の演奏データもインターネットには多数公開されている。(→例えば。) そういう意味では、独学でやるならバイエルやブルクミュラーを外すのは得策とは言えない。

■ 入門用の楽典

楽典―理論と実習

黄色い「楽典」が標準的なテキストとして良いと思う。これよりわかりやすい本はたくさんあるが、普及しているので古本が安くで手に入るという点と、必要最低限のことは書いてあるという点を評価したい。あとは、「演奏のための楽典―正しく解釈するために」は語り口調で読みやすく、わかりやすい説明で黄色い「楽典」よりは高度なことを取り扱っているので、こちらも併読したい。

ここまでは極々当たり前のことしか書けなかった。続きは明日以降のエントリで。