福山雅治、Rioを語る

この前福山雅治について書いたエントリーがえらく評判がよかったので、
http://d.hatena.ne.jp/yamauchikazuya/20090801

また福山について。
『ROCK’N’ROLL TIMES No.3』というタワーレコードが出しているフリーペーパーを今日もらってきた。そこで『お願いマスカット』で『squall』を歌ったRioについて熱く語っていた福山が面白かったので、引用してみる。あと、同じフリーペーパーに載っていたリリー・フランキーの福山に対する手紙がとても印象深かったので、載せる。
以下Fが福山、Lがリリー・フランキー、インタビュアーは吉田豪である。

F 実は今日Rioちゃんの「squall」を観てきたんですけど(笑)。もはや音楽人の目で見てるんで。
−ユニット組んでもいいんじゃないですか、Rio+って感じで(笑)
F Rio+、いいですね(笑)
L この人のAV評は、エロじゃなくて人柄を見るから、Rioの仕事の仕方にすごく感銘を受けてるの。
F 最初はRioちゃんのAVを普通に観てたんですけど、RioちゃんがあるAVで、自分のプロフィールを一人しゃべりでしゃべりながら、一問一答をずっとしてたんです。ワンカメでずっと回してて、それで好きなタイプとか食べ物とかいろんなことを聞かれてる中で、「オナニーは好きですか?」みたいな話になったんですよ。で、「オナニーはう〜ん……たまにします」みたいなことになって、「いまここでしてみてください」「えっ?」ってなって、……まあ、オナニー始めてエクスタシーに達するんですけど、それ最初から最後までワンカメ、ワンロール、ワンカットなわけですよ。
L 監督が相米慎二だったんじゃない?
−かなりの長回しですからね(笑)
F しかも、ハリウッドで行われてるようなCGを使ったワンカメ、ワンカットに見せる手法ではなく、据え置きの家庭用のカメラなんですから。……いや、すごいなと思いましたよ。それを観てから、とにかくRioちゃんがここまで頑張ってるんだし、俺も『ガリレオ』で長ゼリフが10ページあるからって「覚えられない、カット割ってくれ」なんで監督に言っちゃいけない。そんなこと言うのはもうやめようと思って。
L 学んだんだ(笑)。Rioの演技法はすごくいいって言ってたよね。「Rioは死に間を作らない」って。
F 作らないんですよ。全部の間に意味があるんですよ。
L 「チンポと唇の距離感で死んだ間を作らないんですよ、リリーさん!」って起きぬけの俺は熱弁されたことあるから(笑)。
F あれにシンパシーを受けましたねぇ。
L Rioの演技法でね。それがやっぱり相手にも伝わるんですよ。だからこそ、Rioが「squall」を歌って。
F Rioが「squall」を返してくれた。……ということは、もう俺たち付き合ってるってことなんですよ(笑)
L ……完全に狂った童貞だから(笑)。『お願い!マスカット』はグラドルを過剰に持ち上げないから、AV嬢のほうが位が高いでしょ。週刊誌にありがちな変なセコいヒエラルキーがない、そこが気持ちいいの。
F わかります。
L 完全実力主義
−むしろグラドルのほうが目立たないですからね。
F で、おぎやはぎの小木さんのほうが……。
L あ、もう焼いてるわけだね(笑)。
F Rio、Rio言うんです(笑)!でも、小木さんは生き生きしてますね、あの番組で。
L 福山君のほうが先にRio好きだったからね(笑)。
F そうですよ!まあ、それはいいんですけど。とにかく、一般的にAVの子がグラビアになったときのあの扱いっていうのは、僕は納得できないですね。
L 福山君がRioを撮るべきだと思うよ。
F 僕が撮るなら、もう脱がなくていいです、全然。普通にしてていい。普通に多摩川あたりをデートしている感じがいいですね。
L 逆に脱ぐとエロスを感じない派なの?
F いや、かすみりささんには脱いでほしいですから、やっぱり。スタイルいいですよね。最近のS級女優って人たちは、ホントにスタイルいいですよ。何のタイミングでAVを始めたんですかね、みんな?
L 結局、最初に誰が声をかけたかってことなんじゃないの?最初にAVのプロダクションが声かけるか、アミューズが声かけるかっていう違いで。
−最近はアイドルからAVに流れる人も増えてますけど、単純に実入りを考えたらそっちに行っちゃうのもわかりますよ。
L でも、AVの子なんかお金もらってないよ。グラドルももらってないけど。バクシーシ山下さんが言ってたけど、AV業界に入ってくる女の子はみんな不器用な子なんですよって。

人間どこで人が見ているかわからないものである。Rioのがんばりを福山が見ていて、
それが『ガリレオ』の演技にまで影響していたとは。やっぱり人間頑張るといいことがあるんだね。
AV女優のような社会的弱者に対する視線が優しい。それが福山の魅力になっているのだと思う。福山もこの前ブログに書いたように下流出身である。下流出身の人間はかえって弱者を切り捨てるようなことを言うことが多い。だが、福山は暖かい目をAV女優に向けている。

そして、次はリリー・フランキーの福山への手紙だが、ここでも絶賛である。児玉清もアンアンで福山を激賞していたし、厳しい美意識を持った二人にここまで褒められるということは稀なことだ。年上の男にそこまで好かれるというのはよっぽどの魅力があるのだろう。

福山くんへ
 なにか、改めて言葉にするのは照れくさいけれど、最近よく、思うんです。
 東京にやって来て、もう、27年くらい経ってしまいました。その中で、同級生や先輩、後輩。仕事仲間や遊び仲間。たくさんの人々と知り合い、仲良くなりました。
 福山くんとは、数年前に何の脈略もなく知り合い、自然と楽しい時間を共に過ごすようになった。千葉でいちご狩りをしたり、大阪で亀を食べたり、九州で正月にウイスキーを飲んだり。ボク自身のことを思い出せば、仕事でもないのに、こんなに色んな場所に誰かと出掛けたこともなかったと思う。
 少し前に、ポンポン船に乗って夜の東京湾に浮かんだとき。船の先っぽで、遠くに見える東京の夜景を座ったまま、ずっと眺めている福山くんの背中が子供のようで、とても愛しく感じました。あの時、福山くんが手に持っていたかき氷は、すっかり溶けていましたよ。
 二人とも九州からのこのこ出てきて、四十代になり、快速電車に乗り換えたような速度でカレンダーがめくれていきます。
 でも、最近よく、思うんです。
 東京に来て、やっと純粋にともだちと言える人ができたのじゃないかと。
 男らしいのにかわいくて、理屈っぽいのに正直で、誰にでも分け隔てなく優しく気を使い、いつも心配してくれる人。
 そんなともだちがいることで、ボクは自分の人生を少し、豊かなものだと感じています。
 もしかしたら、僕たちがずっと話したり、探したりしていた「幸福」というものは、こういうことなのかもしれませんね。
 二〇〇六年 夏の終わり 
 リリー・フランキー

女が死んで男が泣くみたいな恋愛至上主義の映画が流行る中、「東京タワー」という小説で母親の愛という普遍的な情念を蘇らせた人がリリー・フランキーである。オカンが亡くなった今、リリー・フランキーは福山との友情に夢中なのだ。もしかしたら、近いうち友情を書いた私小説リリー・フランキーの手によって書かれるかもしれない。

残響(CDのみ通常盤)

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