高さのあるゲーム
なぜ日本人はゼルダをやらないのか(現実ゲームさん)
自分は「2Dゼルダ大好き、3Dゼルダムズイ……」って人なので、このスレに書き込んでいる『ゼルダ』が好きな人の意見も、『ゼルダ』が苦手な人の意見も頷けました。
そんな中でも自分が膝を打ったのがこの書き込み、引用の引用になってしまいますが、色んな現象を上手く説明した意見だなぁと思ったので是非。
<引用の引用>
73 LR転載禁止案について議論中 2011/12/02(金) 01:22:55.85 ID:/MK8lb1eO
>>64
やっぱ3D空間を駆使するからに尽きると思うよ。
マリギャラ2の社長が訊く宮本編がわかりやすいかな。
3D空間を平面に遊ぶというやつ。
MGSもPS1で3D化したけど
基本構造はMSX2時代から続く俯瞰視点が基本だった。
無双も同じ高さの大地に立つ敵と戦う。
けどゼルダは違う。今作でも最初のダンジョンからして 高い位置、低い位置に隠されたオブジェクトを刺激して扉を開けたり ビートル使って探索したり
とにかくバリバリに3Dなんだよね。
ゲーマーからすれば最高級の食材となりうる遊びなんだけどね。
</ここまで>
※ 改行、強調は引用の引用者(=俺)が行いました
※ 元の書き込みはこちら
一言で「3Dアクションゲーム」と言っても色んなものがありますが……
NINTENDO64以降の流れを汲む任天堂の3Dアクションゲームは、「高さ」が重要になっているんですよね。これを表現したいがためにNINTENDO64というゲーム機が作られたのだろうし、「高さ」のある世界での遊びを模索してきたのが任天堂(の、特に宮本さん)だと思うのです。
ちょっと時代を遡って。
ファミコン時代の『ゼルダの伝説』と、スーファミ時代の『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』を比較すると―――自分が一番「進化した」と思うところは、実はこの「高さ」だったりします。あくまで平面の部屋が連なってダンジョンが構成されていたファミコン時代と違い、スーファミ版は「上の階からブロックを落として下の階のスイッチに載せる」とか「上の階のレバーを引くことで下の階に水が流れる」みたいな仕掛けが満載になっているんです。
『ゼルダの伝説』シリーズは、2Dの時代から「高さ」を表現しようとしていたんです。
当時の自分はスーファミ版が初ゼルダでしたけど、「スーファミってこんなすげえことが出来るのか!」と衝撃を覚えました。こんな複雑な構造のダンジョンはファミコンでは絶対に表現できないぞ、と。
スーパーファミコンではこの他にも『パイロットウィングス』や『スターフォックス』といったソフトで「高さ」を表現しようとしたと思うんですけど、私はプレイしたことがないので迂闊なことは書かないようにします(笑)。
そして、続くNINTENDO64の登場。
本体と同時発売ソフトは『スーパーマリオ64』でしたが、このゲームは最初のステージからして「あそこに見える大きな山の山頂を目指せ」ってところから始まるんですよね。この新しいゲーム機はこんな凄いことが出来るんだよと見せつける最初のステージからして、「高さ」を意識させるところから始まっているんです。
『マリオ64』はこの他にも「雪山の上から滑り落ちてくるステージ」とか「海の底に潜っていくステージ」とかもありますもんね。これでもかってほど「高さ」を意識させるゲームでした。「ゲームが変わる、64が変える」です。
かくして、ゲームは「高さ」を手に入れたのです。
そうして作られた「高さのあるゲーム世界」に、「イヤッホゥウウウウ!楽しーーーーい!」と思える人と「マトモに遊べねえええええええ」と挫折した人が分かれてしまった―――という流れが、冒頭で紹介した『ゼルダ』を好きな人と苦手な人の分離に繋がっているんじゃないかと思いました。
自分も後者の気持ちがすごく分かります。
『ゼルダ』は大好きですが、3D『ゼルダ』は不得手。
(関連記事:3Dアクションゲームが苦手です)
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○ 「高さ」でゲームはどう変わったのか?
「高さのあるゲーム」で表現できるものがあるのは分かります。
それが大好きな人の気持ちも貶したいワケではありません。「高さのあるゲームがなくなればイイ」だなんてこれっぽっちも思っていません。でも、「それによってふるい落とされている人がいる」というのは書いておかなければって思うのです。
スーパーファミコン時代の『スーパーマリオカート』は基本的に平面を走るゲームでした。
「高さ」を手に入れた64以降は、コースが起伏に富んで、仕掛けの多い遊びが出来るようになりましたが……自分は実は苦手になってしまいました。画面内の高さを上手く認識出来ないので思ったように走れなくなってしまったんです。
まぁ……『マリオカート』シリーズは「ただコースを走ればイイだけ」だから、「高さのあるゲーム」の中では拒否反応を示す人が少なくて、売上げは相変わらず絶好調なんだと思うのですが。
『斬撃のレギンレイヴ』なんかは、ステージの地形自体はさほど「高さ」があるワケではないのですが。とにかくデカイ巨人だったり、空中から攻撃してくる竜だったり、前後左右だけでない「高さ」も考えた立ち回りが必要なゲームでした。
それが楽しくて仕方がないという人の気持ちも分かりますし、「高さ」を活かした究極のゲームということで存在意義も分かります。でも、自分はその3D空間を認識できなかったので、ずっと2Dマップを見ながらプレイしていました。
『ゴーバケーション』や前作『ファミリースキー』シリーズは、「高さのある箱庭空間」を表現しているゲームでした。「高さ」はリゾート空間を表現するために使われていて……馬に乗ってせっせと山に登り、頂上から下を見下ろすと「ふもとの湖」が見えるとか。雪山を猛スピードで滑降していると、自分がさっき乗っていたリフトが見えるとか。「高さ」があるからこその風景が見られるんですよね。
「高さ」で表現された地形は、アクションゲームの難易度に使われるのでなく、あくまで「ただそういう地形があるだけ」なので―――3Dアクションゲームが苦手な人でも、「高さのあるゲームの魅力ってこういうことなのか」と分かると思います。
が、そうした箱庭空間の上空を飛んで風船を割っていく競技「パラグライダー」「ハングライダー」は、「高さ」を認識できない自分には非常に辛かったです。これまた2Dマップを見ながら、何度もコンティニューして上昇のタイミングをひたすら覚えていくという覚えゲーでした。
自分はスーファミ時代の2D世界が好きだったので、ゲームがどんどん3Dになったサターン・プレステ・64時代は馴染めませんでした。「どうしてマリオやゼルダまで3Dにするんだよ!」と思っていましたし、今でも3Dアクションゲームは苦手です。
でも、あの時代に「高さ」を手に入れたからこそ『ゴーバケーション』の絶景があるワケで。
「パラグライダー」の風船割りに殺意を覚えたのは本音ですけど、「高さのあるゲーム」が悪いワケではなくて、その「高さ」で何をやらせるのかってだけなんですよね。それこそ「高さの恩恵」を受けて売上げを最も伸ばしたゲームって『マリオカート』シリーズじゃないかと思いますし。私は苦手ですけど。
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○ 「高さ」を捨てたマリオと、「高さ」を極めるゼルダ
『スーパーマリオ64』は「高さのあるゲーム」としてその後の流れを形成した作品の一つだと思うのですが、その3D『マリオ』最新作である『スーパーマリオ3Dランド』が「高さ」を意識させない作品になっているというのが興味深いです。
高低差を活かしたステージとか、ひたすら登っていくステージなんかももちろんあるのですが……『マリオ64』の「さぁ!この山を登るんだ!」みたいなノリではなく、道沿いに進んでいたら頂上に着いてた―――みたいなカンジで、遊んでいるイメージとしては「平面」なんですよね。
唯一「高さ」を意識させるのは望遠鏡を見ている時くらいで。
これは「携帯機での3Dマリオ」「手軽に遊べるものを目指した」「短い開発期間」という理由からで、据置機の3D『マリオ』はまた違う形になるかも知れませんが……現在までの売り上げは絶好調で、少なくとも『スーパーマリオギャラクシー』の売上げは越えそうなところを見るに、国内市場で受ける3D『マリオ』の一つの形が出来たんじゃないかと思います。
『マリオ64』の頃のような「高さのあるゲーム」が好きだった人は残念かも知れませんけどね。
反対に『ゼルダ』。
冒頭で言われていた最新作『スカイウォードソード』の話のように、3D『ゼルダ』はバリバリ「高さ」を意識したゲームになっています。自分はまだプレイしていないんですけど、セーブシステムの変更などで「今まで一番遊びやすくなった!」という評判も聞くのですが。
プロモーションでも「濃密ゼルダ」という言葉を使っているように、
下手に「万人向け」みたいな方向には進まないようにしているんですよね。
これは任天堂が「ゲーム機を売っているメーカー」だということもありますし、
『マリオ』と『ゼルダ』という両輪の自社開発ソフトがあるということもあって―――「誰にでも楽しめる路線」を目指す『マリオ3Dランド』と、「歯ごたえ十分な路線」を目指す『スカイウォードソード』は、それぞれ別の役割を持った戦略的ソフトなんですよね。
だから、『ゼルダ』は―――特に据置機の『ゼルダ』はこの路線を変えないだろうし、変えちゃいけないんだと思うのです。『ゼルダ』まで「高さ」を捨てたら誰が残るんだって話ですからね。だから、単純に売上げだけ見て成功・失敗を語るものでもないのだろうなぁと。
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| ゲーム雑記 | 17:45 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑
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