アイキャッチ画像撮影:筆者(大船山西斜面の紅葉)
いろんな紅葉が楽しめる「くじゅう連山」の秋

くじゅう連山(九重山)は、九州本土最高峰の中岳を最高点とした、複数の峰々や周辺部の総称。日本百名山、花の百名山にも数えられ、春は山野草、初夏のミヤマキリシマ、秋の紅葉、霧氷が美しい冬など、1年中楽しめる人気の山です。
低木から高木まで様々な紅葉が魅力

くじゅう連山の紅葉は、大きく分けて2種類。低木のドウダンツツジ類が、山肌をオレンジ色に染め上げる紅葉と、中高木のカエデ類やブナなどが、山麓の森を赤や黄色に彩る紅葉です。

登山中、様々な紅葉に出会えるのが特徴で、ほかにススキ原や草モミジも楽しめ、秋を満喫することができます。
紅葉時期はとても混雑!連絡バスの運行もあり

今回紹介するコースの紅葉見ごろ時期は以下の通り。
10月上旬 | 10月中旬 | 10月下旬 | 11月上旬 | 11月中旬 | |
---|---|---|---|---|---|
①男池~大船山コース | ★★ | ★★★ | ★★ | ★★ | ★ |
②長者原~三俣山コース | ★★ | ★★★ | ★ | ||
③牧ノ戸峠~扇ヶ鼻コース | ★★ | ★★★ | ★★ | ||
④吉部~坊ガツルコース | ★★ | ★★★ | ★★★ | ★ |
くじゅう連山の紅葉はとても人気があるので、紅葉時期は多くの登山客や観光客で賑わいます。とくに、紅葉ピーク時期は、週末はもちろん、平日でも早朝から駐車場が混雑状態に。
そこで、混雑時期は登山口・駐車場間を結ぶ連絡バス「くじゅうつなぐバス」が運行されています。詳細は最後に掲載していますので、参考にしてください。
ここからは、おすすめ4コースの概要やアクセスについて紹介していきます。
①男池~大船山コース|まるで日本庭園のような紅葉の絶景
最高点の標高: 1755 m
最低点の標高: 870 m
累積標高(上り): 963 m
累積標高(下り): -963 m
コース概要
男池登山口(69分)→ソババッケ(82分)→大戸越(92分)→大船山山頂(61分)→大戸越(46分)→ソババッケ(47分)→男池登山口
【紅葉時期】
御池 10月上旬~10月中旬
大船山全体 10月上旬~11月中旬
秋のくじゅう連山で最も人気があるのが大船山(たいせんざん/1,786m)。山頂直下の池の周りを錦に彩る、日本庭園のような絶景が大人気です。大船山の登山コースはいくつかありますが、今回は湧水の森から登頂するコースを紹介します。

薄いブルーの湧水がこんこんと湧き出る「男池(おいけ)園地」が登山口。ゲートで男池清掃協力金100円を払って出発。しばらくは清々しい森の中を歩きます。なお、このあたりは大船山の山頂紅葉のピークから2週間後くらいから、上の画像のような美しい紅葉を楽しめる森になります。
登山口は男池(おいけ)、山頂直下の池は御池(おいけ)。ちょっと紛らわしいので注意しましょう。

登山口から約2時間30分で大戸越(うとんごし)へ出て、大船山への稜線歩きに。ドウダンツツジなどが、パッチワークのように斜面を染め上げる絶景を見ながら、少しずつ標高を上げていきます。

登山口から約4時間で大船山山頂に到着。山頂からは、くじゅう連山や九州の山々の絶景が眺められます。そして、秋の大船山で一番の見どころは、山頂直下の御池(おいけ)の紅葉。日本庭園のような景色が多くの登山者を魅了します。

時間があれば池のほとりまで降りてみましょう。天候が良ければ水面に映る紅葉で、まるで絵画のような絶景を楽しむことができます。
下山は往路を戻ります。
男池登山口へのアクセス・駐車場情報

今回利用した男池登山口は「男池園地」にあり、男池清掃協力金100円を支払う必要があります。
【クルマの場合】
大分自動車道「九重」IC→県道40号線→県道621号→男池駐車場
■男池駐車場
駐車台数:約190台
料金:無料
トイレ:あり
※男池清掃協力金100円
【公共交通の場合】
近くに公共交通機関はありません。
②長者原~三俣山コース|天空の紅葉を楽しむ
最高点の標高: 1730 m
最低点の標高: 1036 m
累積標高(上り): 828 m
累積標高(下り): -828 m
コース概要
長者原(くじゅう)登山口(123分)→すがもり越(38分)→三俣山西峰(28分)→三俣山本峰(14分)→三俣山南峰(14分)→三俣山IV峰(39分)→すがもり越(83分)→長者原(くじゅう)登山口
【紅葉時期】
10月中旬~11月上旬
目指す三俣山(みまたやま/1,745m)は「西」 「本」 「北」 「南」 「Ⅳ」の5つの峰を持つ、なだらかな山頂部が特徴。山頂部には大鍋小鍋と呼ばれる火口があり、紅葉の名所になっています。

くじゅう登山の中心部、長者原(ちょうじゃばる)から出発します。目の前には目指す三俣山が。

しばらく舗装路や、ぬかるむ登山道、岩ゴロゴロのガレ場など、火山らしい荒々しい風景の中を進みます。

ガレ場をどんどん上ると長者原から2時間程度で、三俣山への玄関口「すがもり越」へ。ここには、昔の山小屋跡の避難小屋があります。休憩にちょうどいいので一息つきましょう。
ここから三俣山へ取り付きます。

登山口から約2時間40分で山頂部の最初の峰「西峰」。ドウダンツツジの紅葉やススキ、たまにリンドウが咲く山頂部を30分程度歩き「本峰」へ進みます。

本峰からは紅葉の名所「大鍋」を望むことができます。ここは火口跡で、約1時間20分で北峰を含む「お鉢巡り」ができますが、途中ロープの岩場や崩落地もあり危険な箇所がありますので、自信が無ければ、南峰へ向かいましょう。

南峰からは眼下に、湿原「坊ガツル」のススキ原や正面には、色づいた大船山を眺めることができます。
その後、Ⅳ峰を経由し三俣山を下山します。
長者原(くじゅう)登山口へのアクセス・駐車場情報

代表的なくじゅう連山への登山口である長者原は、広い駐車場とビジターセンター、レストハウスや土産物店などがあります。タデ原湿原も広がり散策も楽しめるので、観光客も多く訪れます。
【クルマの場合】
大分自動車道「九重」IC→四季彩ロード→長者原公共駐車場
■長者原公共駐車場
駐車台数:約500台
料金:無料
トイレ:あり
※紅葉ピーク時は、「くじゅうつなぐバス」の運行あり。
【公共交通の場合】
JR「豊後中村」駅より九重町コミュニティバス「九重縦断線」乗車−「九重登山口みやま」バス停下車
JR「由布院」駅下車、由布院駅前バスセンターより九州産交バス「九州横断バス:熊本駅前行き」乗車−「くじゅう登山口(長者原)」バス停下車
③牧ノ戸峠~扇ヶ鼻コース|くじゅうの紅葉を楽しむ最短コース
最高点の標高: 1677 m
最低点の標高: 1330 m
累積標高(上り): 381 m
累積標高(下り): -381 m
ルート概要
牧ノ戸峠登山口(41分)→沓掛山(68分)→扇ヶ鼻(48分)→沓掛山(24分)→牧ノ戸峠登山口
【紅葉時期】
10月中旬~11月上旬
扇ヶ鼻(おうぎがはな/1,698m)は九重連山の中では、ちょっと地味な存在の小ピークですが、秋になると紅葉の絶景を楽しめます。山頂まで3~4時間かかるコースが多い中、登山口から2時間弱で到達できることも魅力です。

標高1,333mの牧ノ戸峠登山口からスタート。様々な樹木の紅葉の中、急坂を登ります。

登山口から約40分で沓掛山(くつかけやま/1,503 m)へ。ドウダンツツジの紅葉とともに、雄大なくじゅうの山々が見えます。くじゅうを代表する絶景です。

様々な紅葉の絶景を眺めながら歩き、登山口から2時間弱で扇ヶ鼻へ。

山頂からは、なだらかに広がる裾野を彩る紅葉とともに、遠くに九州百名山の祖母山を含む、九州山地を眺めることができます。
下山は往路を戻ります。
牧ノ戸登山口へのアクセス・駐車場情報

くじゅう連山の中では最も標高の高い登山口で、くじゅうの核心部の山々へ登りやすいことから人気の登山口です。レストハウスや自動販売機・トイレも完備されていますが、駐車場はいつも混雑気味で、特に週末は早朝から満車になるので注意。できるだけ公共交通機関か「くじゅうつなぐバス」を利用することをおすすめします。
【クルマの場合】
大分自動車道「九重」IC→四季彩ロード→やまなみハイウェイ→牧ノ戸峠駐車場
■牧ノ戸峠駐車場
駐車台数:約200台
料金:無料
トイレ:あり
※紅葉ピーク時は、「くじゅうつなぐバス」の運行あり。
【公共交通の場合】
JR「豊後中村」駅より九重町コミュニティバス「九重縦断線」乗車−「牧の戸峠」バス停下車
JR「由布院」駅下車、由布院駅前バスセンターより九州産交バス「九州横断バス:熊本駅前行き」乗車−「牧の戸峠」バス停下車
④吉部~坊ガツルコース|紅葉の滝&ススキ&秘湯!のんびりトレッキング
最高点の標高: 1273 m
最低点の標高: 961 m
累積標高(上り): 444 m
累積標高(下り): -444 m
コース概要
吉部登山口(60分)→暮雨の滝(58分)→法華院温泉山荘(90分)→吉部登山口
【紅葉時期】
10月中旬~11月中旬
ここで紹介するのは、ラムサール条約の登録湿地「坊ガツル」を歩く、比較的なだらかなお散歩コース。ピークは踏みませんが、森の紅葉、滝、高原のススキ、そして秘湯へ、ちょっと贅沢な時間を楽しめます。
森の紅葉時期は、人気の大船山などの紅葉ピークは過ぎており、比較的混雑が少なめなので、のんびりと秋のくじゅうを楽しみたい人におすすめです。

駐車場から約3分、林道から吉部(よしぶ)登山口へ入ります。約30分、森の中の急な坂を登りますが、コース全体を通して本格的な登りはここだけ。あとは最後までなだらかな登山道になります。

登山口から1時間。登山道をちょっとそれて下ると「暮雨(くらさめ)の滝」。紅葉の中、勢いよく落ちる滝は絶好の撮影スポットです。

その後は、カエデやブナ・ナナカマドなど、色とりどりの紅葉の中、のんびりトレッキング。森を抜けるまで約30分、幻想的な時間を楽しめます。

タイミングがよければ、トリカブトの花が咲いていることも。

登山口から1時間30分、紅葉の森を抜けると一気に視界が広がり坊ガツルへ。
坊ガツルはラムサール条約(※)に登録された日本最大級の中間湿原で、秋はススキの大平原になります。周りはくじゅうの山々が囲み、開放感満点の絶景コース。広くて歩きやすい道が続くので、お散歩気分で歩きましょう。
※ラムサール条約…湿地や湿地に生息する野生生物の保護を目的として、国際会議で採択された条約。日本では、坊ガツル・タデ原湿原のほか、釧路湿原や尾瀬などが登録されています。

登山口から約2時間、法華院温泉山荘へ到着。ここでは、くじゅうの山々を眺めながら温泉を楽しむことができます。日帰り入浴可能なので、ぜひ、利用しましょう。宿泊もできるので、ここを基点に大船山や三俣山(どちらも約2時間程度)をはじめとする山々を登るのもおすすめですよ。
下山は往路を戻ります。
法華院温泉山荘
日帰り入浴料金:1人1回 500円
電話番号:090-4980-2810(電話受付時間 8:00〜20:30)
吉部登山口へのアクセス・駐車場情報
くじゅう周辺では珍しく有料駐車場のみ。広々としていますが、未舗装で路面に凸凹が多く、車高が低いクルマは注意しましょう。トイレはありますが簡易トイレなので、苦手な人は、長者原などで済ましておくのが無難です。
駐車場は、手前に1日1000円の駐車場、奥に300円の駐車場があるので、よく確認するようにしましょう。
【クルマの場合】
大分自動車道「九重」IC→県道40号線→県道621号線→吉部駐車場
■暮雨駐車場
駐車台数:約300台
料金:1日1000円
トイレ:あり(簡易トイレ)
■吉部駐車場
駐車台数:約100台
料金:1日300円
トイレ:あり(簡易トイレ)
【公共交通の場合】
近くに公共交通機関はありません。
これなら安心!登山口連絡バス「くじゅうつなぐバス」運行

くじゅう連山のミヤマキリシマや紅葉の時期は、どこの駐車場も混雑します。その対策として、大分県では登山口・駐車場間を結ぶ連絡バス「くじゅうつなぐバス」を運行します。
今回紹介するコースでは、②三俣山コース(長者原登山口)、③扇ヶ鼻コース(牧ノ戸峠登山口)が該当。例えば、瀬の本の専用駐車場に駐車して、バスで牧ノ戸峠・長者原などの登山口に行くことができるのでおすすめです。
「くじゅうつなぐバス」を利用して、けっして路上駐車はしないようにしましょう。
くじゅうつなぐバス
料金:一人片道1000円 往復1500円
くじゅう連山の天気と地図をチェック
登山前には天気予報をチェック。天候や気温に応じて、ウェアや装備を準備しましょう。地図の用意も忘れずに。
大船山のふもと(由布市)の10日間天気
日付 | 03月07日 (金) | 03月08日 (土) | 03月09日 (日) | 03月10日 (月) | 03月11日 (火) | 03月12日 (水) | 03月13日 (木) | 03月14日 (金) | 03月15日 (土) | 03月16日 (日) |
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天気 | ![]() 晴時々曇 | ![]() 曇時々雨 | ![]() 晴 | ![]() 曇のち雨 | ![]() 曇時々晴 | ![]() 晴時々曇 | ![]() 曇時々晴 | ![]() 曇時々晴 | ![]() 曇時々雨 | ![]() 曇時々雨 |
気温 (℃) | 10 1 | 11 0 | 14 0 | 14 2 | 15 9 | 21 6 | 19 8 | 16 4 | 14 7 | 13 10 |
降水 確率 | 20% | 70% | 10% | 80% | 40% | 30% | 30% | 20% | 90% | 90% |
データ提供元:日本気象協会
大船山の登山指数
日付 | 03月07日 (金) | 03月08日 (土) | 03月09日 (日) | 03月10日 (月) | 03月11日 (火) | 03月12日 (水) |
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登山 指数 |
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登山指数の留意点
登山をするための快適さを、山頂や山麓の気象条件から、気象学的知見を用いて登山指数A~Cで表現をしています。降水量、風速、雲量などを総合的に考慮し、気象条件を独自計算したものです。
ただし、以下のリスクは含まれておりません。
- 雷の発生の可能性
- 前日の天気による道のぬかるみ
- 局地的大雨
- 土砂災害の発生の可能性
- 雪崩の発生の可能性
- 噴火の可能性
- 積雪の有無
- 濃霧
- 低温または高温
- 虫やヒルなどの発生状況
山の天気は大きく変わりやすいため、登山指数はあくまで目安としてご利用頂き、最新の気象データや天気図、各登山道情報をご確認ください。
なお、本情報に基づいた行為において発生したいかなる人物の負傷・死亡、所有物の損失・損害に対する全ての求償の責は負いかねます。ご了承下さい。
データ提供元:日本気象株式会社
昭文社 山と高原地図 阿蘇・九重 由布岳 2024年版
絶景に出会える、くじゅう連山の秋

九州在住の筆者が厳選した、くじゅう連山の秋を楽しむ登山コースを紹介しました。紹介した登山コースは、ほんの一部。このほかにも紅葉を楽しめるコースやポイントは、まだまだあります。また、周辺には紅葉の観光名所や温泉がたくさんあるので、登山後も飽きることはありません。
ぜひ、秋のくじゅう連山を登山して、たくさんの絶景を楽しみましょう。
※この記事内の情報は特記がない限り公開初出時のものとなります。登山道の状況や交通アクセス、駐車場ならびに関連施設などの情報に関しては、最新情報をご確認のうえお出かけください。
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