還暦を迎えてもまだまだ元気な小野田。
気合を入れてトウケイヨンセイの為に繁殖牝馬を集める。
エリモキッチン(父ヤマノブリザード、母ハルーワスウィート)
オリーブプールナ(父プリサイスエンド、母シュガーハート)
メジロドゥルガ(父ドクタースパート、母父リアルシャダイ)
マックスレガシー(父アジュディミツオー、母父キンググローリアス)
マジソンリーグ(父トロットサンダー、母ピアグレイス)
ネットでヨンセイの種付け相手を確認した競馬ファンはいちように(ヨンセイの時は母父ブライアンズタイムで正気に戻ったと思ったらまたマイナー血統の牝馬用意してる……)とシンクロした。
小野田はアジュディミツオーの血を継ぐマックスレガシーの2019を後継に決めた。
小野田「トウケイニセイ、ロジータ、アジュディミツオー……地方の英雄達の力を見せてやる!」
牝系を遡るとスターロツチの半姉のテツノホマレに辿り着き、近親に春秋スプリント制覇のロングハヤブサがいるという由緒正しい在来牝系(古臭いとも言う)
小野田「聞こえる……サンデーサイレンスの血統に勝ちたいというキンググローリアスの声が」
及川「病院行くか?」
閑話休題。
2021年。
2歳の10月にデビューしたゴセイは新馬戦をサクッと勝ち上がる。
サンセイから数えて3代続けて一発で新馬戦を突破したのは地味だが快挙。
来年のクラシックを見据えて出走した葉牡丹賞は4着(10番人気だったので健闘したとも言えるが)
2歳GⅠに出走出来なくもなかったが前走との間隔が短い事、1勝クラスでの4着でGⅠは厳しいという判断で回避。
ちなみに他のヨンセイ産駒はクラリティスカイの半妹にあたるエリモトップがOPに昇格して阪神JFに出走するなどまずまずの出だし(結果は13着だったが)
2022年。
抽選をくぐり抜けて11番人気で迎えた若竹賞は上位4頭が殆どタイム差なしで縺れる大混戦。
幸先の良い勝利。
そして3月の半ばには嬉しいニュースが飛び込んできた。
カオルマウンテンがファルコンSを勝利してヨンセイ産駒初の重賞。母父トロットサンダーの重賞馬も初。
翌日阪神競馬場にいた小野田は馬主席で「あれうちが種付けして生まれた馬なんすよ」と調子に乗った。
何故小野田が仁川にいたかといえば皐月賞を目指してゴセイがトライアルの若葉Sに出走していたからであったが、結果は4着。葉牡丹賞に続いて馬券師に優しくない走り。
更に欠点も判明。
臆病で馬群が苦手だったヨンセイとは対照的に好戦的な気性が仇になってしまったゴセイ。
こう考えるとサンセイは気性面で苦労させられた記憶がないなとしみじみとする小野田であった。
陣営は一縷の望みを託して皐月賞に登録するも抽選で落選。やむなくプリンシパルSに出走する事に。
そこでも3着止まりだったがラジオNIKKEI賞で重賞初勝利。
ここで賞金の加算は大きい。
その上この時期で重賞馬になったのは一族でも最速。小野田はニヤケ顔を隠し切れない。
秋、古馬との初対決となったキーンランドCでは6着。
新馬戦以降で初めて掲示板を外してしまう。結果次第ではスプリンターズSへの出走も検討されていたがこれでは時期尚早と判断され外厩で鍛える事に。
帰厩後、11月の福島記念ではタイムトゥヘヴン相手に写真判定の末に勝利。
ゴセイの活躍もありヨンセイはリーディング16位を獲得。
ゴセイの方も獲得賞金が1億越え。
この年のジャパンCではキタサンブラック産駒のイクイノックスとドゥラメンテ産駒のタイトルホルダーが激突。
浪漫派の小野田は参戦したかったなと羨まし気な視線を向ける。
2023年。
4歳初戦の中山金杯は3着で悪くない滑り出し。
オーシャンSでは他馬を豪快に差し切って高松宮記念への切符をゲット。
親子制覇を目指してGⅠ初挑戦するも5着のキングエルメスにハナ差及ばず6着。まだまだ栄光の頂きは遠い。
安田記念は5着。11番人気だった事を鑑みれば好走と言えるが……
13戦目にして初の1番人気で迎えたアイビスSDはファンの期待に見事に応える勝利で重賞4勝目。
去年8番人気だったキーンランドCでも1番人気に支持されるとここも勝利して勢いに乗る(またこの2勝でサマースプリントシリーズで優勝)
スプリンターズSはセリフォスの2着と好走(マイルCSは7着だったが)
人気投票で16位を獲得した事で陣営は有馬記念に出走を決定。
ここで8番人気だったが3着と奮闘する。
競馬ファン「マイルすら長い純正スプリンターだったんだry……んんん?」
ヨンセイはリーディングが8位まで上昇。
年末。
及川「SNSでウ○娘3期のトウケイヨンセイの話題を呟くと絡んでくる怪しいおっさんが出没してるらしいぞ」
小野田「へえー(ポチポチ)」
2024年。
ヨンセイはオーシャンSを2馬身差で快勝。連覇達成。
これで重賞6勝目。そろそろGⅠの勲章が欲しいが高松宮記念はナランフレグの2着。
写真判定の結果が出るまでの数分間、小野田は生きた心地がしなかった。そして結果が出てからは数分間フリーズ。
GⅠでハナ差で負けた馬について語るスレ
1 名前:名なしの競馬ファン
トウケイゴセイは2024年の高松宮記念を勝ってたら行方不明にならずに済んだろうに……
小野田「はっ!? 幻覚か……」
安田記念ではテイクオフの2着。
人気投票7位で出走した宝塚記念は6着。
秋初戦のキーンランドCも連覇し、悲願のGⅠを獲りたかったが――
スプリンターズSは半馬身届かずゲレイロプレートの2着。
マイルCSも3着と一線級の実力を見せはするものの、後一歩届かない。
重賞7勝で獲得賞金7億越え。しかしGⅠGⅡ未勝利故に一部ネットではGⅢ大将と揶揄されてしまう。
ヨンセイはリーディング5位と好調。22歳の高齢となったサンセイも23位と悪くない。
2025年。
そろそろ引退も検討しなくてはならない6歳シーズン。
レースにおいて馬主が出来る事は恐ろしく少ない。自分が選んだ馬と騎手と調教師を信じる事。
小野田は必死にゴセイの勝利を願った。
仮にGⅠ未勝利であっても種牡馬入りさせる事は出来る。それでも愛馬にGⅠを勝ってほしいと思うのは競馬ファンなら当然の事だった。
そして──
12回目のGⅠ挑戦で遂に戴冠!
小野田は馬主席で泣き崩れた。
更に親子で高松宮記念→安田記念連覇という快挙。
宝塚記念では4着と相変わらず中距離になるとパッとしない成績(と表現すると掲示板に入れない陣営から睨まれそうであるが)
それはともかく。
日本を代表する短距離馬となったゴセイ。
その力を信じる小野田は心残り――サンセイとヨンセイが何度も挑戦して跳ね返された海外GⅠの夢を再び見る。
すなわち、ジャックルマロワ賞への出走。
事前評価は2枠3番 1番人気。奇しくもトウケイヨンセイと全く同じ状況。ヨンセイは2着だったが――
トウケイホープの誕生から半世紀。
その血は日本を飛び出して異国で花咲いた。
小野田「あ"」
小野田の脳は完膚なきまでに焼き尽くされた。
その姿は某ドウデュースのダービーと並んでネットの玩具になる。
しかしこの激走の反動か、春秋制覇がかかったスプリンターズSはサンダーマウンテン、ウタカタに続く3着、マイルCSは4着。
有馬記念も7着。
それでも春短距離GⅠ連勝と史上2頭目のジャックルマロワ賞制覇が評価されて最優秀短距離馬に選出。
2歳戦ではトウケイヨンセイ×リスグラシューのギニーカーペットが阪神JFを勝って2歳女王に。
慶事はこれだけではない。
小野田「リーディングサイアー? リーディングサイアーってなんだ!? 食えるのか!?」
及川「馬鹿、落ち着け。リーディングサイアーってのはつまりリーディングのサイアーだよ」
現実を受け止められず錯乱するおっさん二人。年々着実に順位を上げていたヨンセイだったが、それでも彼等にとってリーディングサイアーは一種の聖域というか獲るのは不可能なものだという認識だった(※おおむね20年に渡って独占してきたサンデーサイレンスとディープインパクト親子のせいである)
翌年の種付け料も1200万まで上昇。
ゴセイもまた850万で種牡馬入り。
サンデーやキンカメフリーの血統に期待が集まる。
馬運車で牧場に運ばれてきたゴセイを小野田と及川が迎える。
及川は定年間際であり小野田もまた無理が効かなくなってきた。
種牡馬が血を繋ぐ事。それには大きな苦難が伴うがゴセイの未来に幸あれと願わずにはいられない二人であった。
競走成績
2021年
10月5週
2歳新馬
東京5R 芝1400m 左 雨 稍重 8頭
5枠6番 3番人気
1着
12月1週
葉牡丹賞
中山8R 芝2000m 右 晴れ 良 17頭
7枠13番 10番人気
4着
2022年
1月4週
若竹賞 1勝クラス
中山8R 芝1800m 右 晴れ 良 16頭
3枠5番 11番人気
1着
3月4週
若葉ステークス L
阪神10R 芝2000m 右 晴れ 良 11頭
1枠1番 7番人気
4着
5月2週
プリンシパルS L
東京10R 芝2000m 左 晴れ 良 16頭
1枠2番 8番人気
3着
7月1週
ラジオNIKKEI賞 GⅢ
福島10R 芝1800m 右 晴れ 稍重 16頭
3枠6番 6番人気
1着
8月5週
キーンランドカップ GⅢ
札幌10R 芝1200m 右 晴れ 良 16頭
7枠13番 8番人気
6着
11月2週
福島記念 GⅢ
福島10R 芝2000m 右 晴れ 稍重 16頭
2枠4番 6番人気
1着
2023年
1月1週
中山金杯 GⅢ
中山10R 芝2000m 右 晴れ 良 18頭
8枠17番 2番人気
3着
3月2週
オーシャンステークス GⅢ
中山10R 芝1200m 右 晴れ 良 16頭
5枠9番 4番人気
1着
3月5週
高松宮記念 GⅠ
中京10R 芝1200m 左 晴れ 良 18頭
6枠11番 6番人気
6着
6月1週
安田記念 GⅠ
東京10R 芝1600m 左 晴れ 良 18頭
7枠15番 11番人気
5着
8月1週
アイビスサマーダッシュ GⅢ
新潟10R 芝1000m 直線 晴れ 良 17頭
6枠12番 1番人気
1着
8月5週
キーンランドカップ GⅢ
札幌10R 芝1200m 右 晴れ 良 14頭
2枠2番 番人気
6着
10月1週
スプリンターズステークス GⅠ
中山10R 芝1200m 右 晴れ 良 16頭
5枠9番 5番人気
2着
11月3週
マイルチャンピオンシップ GⅠ
京都10R 芝1600m 右 晴れ 良 18頭
6枠12番 6番人気
7着
12月4週
有馬記念 GⅠ
中山10R 芝2500m 右 晴れ 良 16頭
4枠8番 8番人気
3着
2024年
3月2週
オーシャンステークス GⅢ
中山10R 芝1200m 右 晴れ 良 16頭
7枠13番 1番人気
1着
3月5週
高松宮記念 GⅠ
中京10R 芝1200m 左 晴れ 良 18頭
5枠9番 3番人気
2着
6月1週
安田記念 GⅠ
東京10R 芝1600m 左 小雨 稍重 18頭
4枠7番 2番人気
2着
6月4週
宝塚記念 GⅠ
阪神10R 芝2200m 右 晴れ 良 18頭
1枠2番 5番人気
6着
8月5週
キーンランドカップ GⅢ
札幌10R 芝1200m 右 晴れ 良 14頭
2枠2番 1番人気
1着
10月1週
スプリンターズステークス GⅠ
中山10R 芝1200m 右 晴れ 良 16頭
1枠2番 3番人気
2着
11月3週
マイルチャンピオンシップ GⅠ
京都10R 芝1600m 右 晴れ 稍重 18頭
7枠15番 2番人気
3着
12月4週
有馬記念 GⅠ
中山10R 芝2500m 右 晴れ 良 16頭
4枠7番 5番人気
6着
2025年
3月1週
阪急杯 GⅢ
阪神10R 芝1400m 右 晴れ 良 18頭
1枠1番 3番人気
2着
3月5週
高松宮記念 GⅠ
中京10R 芝1200m 左 晴れ 稍重 18頭
8枠17番 2番人気
1着
6月1週
安田記念 GⅠ
東京10R 芝1600m 左 雨 稍重 18頭
5枠9番 3番人気
1着
6月4週
宝塚記念 GⅠ
阪神10R 芝2200m 右 曇り 良 18頭
3枠6番 3番人気
4着
7月4週
ヨークステークス GⅡ
ヨーク 芝2100m 左 曇り 良 16頭
7枠14番 1番人気
2着
8月3週
ジャックルマロワ賞 GⅠ
ドーヴィル 芝1600m 直線 晴れ 良 18頭
2枠3番 1番人気
1着
10月1週
スプリンターズステークス GⅠ
中山10R 芝1200m 右 晴れ 良 16頭
1枠1番 2番人気
3着
11月3週
マイルチャンピオンシップ GⅠ
京都10R 芝1600m 右 晴れ 良 18頭
4枠7番 4番人気
4着
12月4週
有馬記念 GⅠ
中山10R 芝2500m 右 晴れ 良 16頭
1枠2番 5番人気
7着