メインコンテンツへスキップ

記事

オンボーディングとは?内容やステップ、チェックポイントを徹底解説

効果的なオンボーディングプロセスを通じて、新入社員は会社への理解を深め、円滑に業務をスタートすることができます。この記事ではオンボーディングの基本からよくある課題と解決策を解説し、チェックリストを紹介します。

著者: Hannah Wren, スタッフ執筆

更新日: 2024年12月5日

ノートパソコンで仕事をし、同僚と協力しながら従業員のオンボーディングプロセスを構築している男性。

オンボーディングプロセスとは?

オンボーディングプロセスとは、新入社員を組織に迎え入れるための一連のステップを指します。企業文化への理解促進や業務への適応支援、必要な情報提供などを通じて、新入社員の早期戦力化を図る包括的かつ戦略的な取り組みが求められます。

近年、企業における重要な課題の一つが従業員の離職率です。人材の入れ替わりが頻繁に起こると、生産性の低下やチームワークの乱れ、採用コストの増加など、様々な問題が発生します。この課題に対する効果的な解決策の一つが、充実したオンボーディングプロセスの実施です。適切なオンボーディングは、新入社員の早期適応を促し、その能力を最大限に引き出すことができます。これは単なる事務手続きではなく、従業員体験を根本から見直し、改善する戦略的な取り組みといえます。充実したオンボーディングプログラムを通じて、組織は優秀な人材の定着を図り、社員を大切にする企業文化を醸成することができます。

この記事では、効果的なオンボーディングがもたらすメリットと、オンボーディングがどのような形で従業員エンゲージメントを高め、組織の成功を実現するきっかけになるのかをご紹介します。

目次

オンボーディングの基本

オンボーディングは、新入社員と企業を結ぶ重要な架け橋です。その目的は、新入社員が自身の役割を理解し、企業文化に馴染むための土台を築くことにあります。効果的なオンボーディングを通じて、従業員は必要なスキルと知識を習得し、企業への帰属意識を高めることができます。

充実したオンボーディングプログラムは、従業員に企業の価値観を伝え、期待される役割を明確にし、社内外のつながりを築く機会を提供します。これにより従業員満足度が向上し、企業とより深いつながりを築けるようになります。包括的なオンボーディングは、企業の第一印象を決定づけ、従業員の長期的な成功への準備を整え、最終的には個々の能力開発にもつながります。

オンボーディングプロセスの流れ

オンボーディングプロセスは、各組織の特性や職務内容に応じてカスタマイズする必要があります。期間や具体的な内容は企業によって異なりますが、一般的に以下の4段階に分けて実施することで、より良い従業員体験を実現できます。
従業員のオンボーディングプロセスは新入社員の勤務開始日の1~5日前から始まり、独り立ちできるようになるまで継続するわけですが、その期間は数か月間におよぶ場合もあります。

プレボーディング

プレボーディングは、通常入社1~5日前から始まります。この段階では、新入社員が新しい担当業務に就くための準備を整え、スムーズに仕事を進められるように土台作りをします。具体的には、以下のような準備が含まれます:

  • 各種書類の準備と記入

  • 社内プロフィールの設定

  • デスクや機器のセットアップ

また、この期間中は新入社員との積極的なコミュニケーションを心がけ、入社日程や服装などの必要事項を伝えます。早期からエンゲージメントを図ることで、新入社員は歓迎されていると感じ、入社への期待感を高めることができます。

オリエンテーション

オリエンテーションは新入社員が正式に入社した初日または最初の週に実施しましょう。オリエンテーションは組織の全体像を把握する重要な機会です。企業の価値観、ミッション、文化について包括的に紹介し、業務方針やコンプライアンスに関する基本情報を共有します。
また、主要なメンバーの紹介や施設見学を通じて、新入社員が組織構造を理解し、帰属意識を育むことができます。充実したオリエンテーションは、従業員のモチベーションと自信を高める重要な第一歩となります。

トレーニング

トレーニング段階では、新入社員が担当業務に必要なスキル、知識、能力を習得します。通常1週間から2か月程度かけて、計画的なトレーニングセッションを実施します。

職種固有の専門知識から組織全体のプロセスまで、幅広い内容を網羅する場合もあります。この期間の目標は、新入社員が自身の役割で期待されるパフォーマンスを発揮できるよう、必要な基盤を整えることです。専門性の向上を図りながら、組織目標との整合性を意識した人材育成を進めていきます。

独り立ち

トレーニング後期から、新入社員は徐々に業務に習熟し、独り立ちへと移行していきます。この段階では、実践的な経験を積み、チームメンバーと協力しながら組織目標への直接的な貢献を始めます。
手厚い研修環境から実務へと移行する重要な時期であり、日常業務やプロジェクト、チームダイナミクスへの主体的な関与が求められます。継続的なサポートとフィードバックを通じて、スムーズな独り立ちを支援します。これにより、新入社員は効果的に職務を遂行し、企業文化に溶け込み、チームの成功に貢献できるようになります。

オンボーディング実施時の役割と責任

効果的なオンボーディングには、組織全体での連携が不可欠です。主要な役割と責任について、以下にご紹介します。

  • HR(人事):オンボーディングプロセス全体の管理を担当します。書類手続きの進行、オリエンテーションのサポート、福利厚生や給与に関する説明など、基本的な窓口として機能します。また、新入社員からの問い合わせに対応し、継続的なサポートを提供します。
  • マネージャー: 直属の上司として、業務に関する具体的な指導を行います。職務内容の説明、期待値の設定、目標の明確化などを担当し、新入社員の成長をサポートします。また、チーム内での良好な関係構築や、キャリア開発の支援も重要な役割です。
  • メンター/バディ: 経験豊富な先輩社員として、日常的な支援と助言を提供します。職場環境への適応支援、企業文化の伝達、基本的な疑問への対応など、より身近な相談相手となります。上司には相談しづらい内容も、気軽に質問できる存在です。
  • 同僚: チームの一員として、実務的なサポートを提供します。日々の業務の進め方や、チーム特有の習慣などについて、実践的なアドバイスを行います。また、マネージャーの負担軽減のため、特定の業務指導を担当することもあります。

これらの役割が有機的に連携することで、新入社員に必要なサポートとガイダンスを、組織全体として提供することができます。

オンボーディングにおけるよくある課題と解決策

オンボーディングを進めるにあたり、事務手続きの合理化からチームへの効果的な順応まで、様々な課題に直面することがあります。以下に、代表的な課題とその解決策をご紹介します。

人事部門およびITサポート部門への接触が困難

問い合わせへの対応や技術的な問題の解決が遅れると、オンボーディングプロセスの妨げとなり、新入社員が不満を抱く可能性があります。

この課題に対しては、マルチチャネルコミュニケーション体制の構築が効果的です。SlackやMicrosoft Teams、メール、チャットなど、複数の連絡手段を用意することで、新入社員がサポート部門に必要な時に迅速にアクセスでき、タイムリーに回答を得られるようになります。また、問題の種類に応じた対応時間のガイドライン(SLA)を設定することで、より効率的なサポート提供が可能になります。

ヒント: オムニチャネル対応のコミュニケーションツールを導入することで、すべての問い合わせを一元管理し、対応時間を短縮することができます。

業務内容と責任が不正確

従業員の離職率が高くなる要因として、職務記述書の内容と実際の職務内容の不一致が挙げられます。新入社員が専門職に就けることを期待して勤務初日を迎えたものの、実際には職務内容は多岐にわたっていたとしたら、新入社員側は組織内の所属について騙されたと感じたり、混乱したりする可能性があります。人事担当者と部門マネージャーが協力し、新入社員の期待を裏切らないように適切な職務記述書を作成しましょう。また、候補者に関するあまり知られていない可能性のある情報をマネージャーから共有すれば、人事マネージャーは内定を出す前に候補者を調査することができます。

ヒント: 部門マネージャーは職務記述書を定期的に見直し、職務内容と責任について正確に記載できているか確認する必要があります。

社内のサポート担当者が困惑

製品知識からサポート手順まで、新しいサポートスタッフは細かな情報を膨大に覚えなければならず、困難を感じる場合があります。情報量が多すぎると新入社員は困惑し、ITチームや人事サポートチームの全体的な効率に影響を与える可能性があります。サポート担当者が重要事項を覚えるのに苦労すると、社内でサポート依頼が殺到します。社内関係者の仕事の負担を軽減するには、AIと自動化を活用してオンボーディングプロセスを合理化・最適化するという方法が挙げられます。適切な人事用ヘルプデスクツールを導入すれば、自動トレーニングコースとチャットボットによって新入社員に的を絞った情報を提供でき、スマートに疑問に対処できます。さらに、自動化によって従業員からの問い合わせを確認・整理できるため、ITチームおよび人事サポートチームの支援につながります。

ヒント: 従業員エクスペリエンスジャーニーマッピングを導入すると、新入社員がオンボーディング時にどのタイミングで特定の問題に遭遇したかを明らかにできます。これで、社内チームがサポート依頼に困惑しないように事前に学習リソースを提供できるようになります。

文書が閲覧不可能

重要な文書をさまざまなプラットフォームにばらばらに保存していると、新入社員に無意味な障壁が生まれ、 オンボーディングプロセスの遅延、会社のやり方や方針の理解の妨げ、新入社員の不満につながる可能性があります。このような課題は、従業員ポータルに社内ナレッジベースを組み込み、そこに情報をまとめれば解決できます。関連する文書、ポリシー、ガイドラインをアクセスしやすい一か所の保存場所に集約することで、新入社員は必要な情報を簡単に確認できるようになります。また、オンボーディングプロセスを強化し、効率と全体的な従業員満足度を高められます。

ヒント: 異なる部門から従業員を選任すると、ナレッジベースの管理や、部門間に存在する壁を取り払えるようなコンテンツ作りが可能になります。

オンボーディング実施時の6つのチェックリスト

従業員のオンボーディングチェックリストによってチーム内の秩序を保てば、新入社員は最大限円滑に経験を積むことができます。Zendeskでは、オンボーディングの実施に役立つチェックリスト一式(英語)(閲覧するにはGoogleアカウントのログインにログインする必要があります)を用意しました。ぜひ、企業独自のオンボーディングプロセスに合わせてカスタマイズしてご利用ください。

オンボーディング前チェックリスト

全社的な発表やITサポートへの依頼の実施状況の確認など、含めるべき主要な記入欄を示しているオンボーディング前チェックリストの例。

包括的なオンボーディング前チェックリストを活用すれば、新入社員がスムーズに入社できるように準備を整えられます。人事担当者は新入社員、マネージャー、IT部門と連携し、初日にすべての準備が整っていることをこのチェックリストで確認する責任があります。

ヒント: チェックリストに状況の変化の記入欄を含めておくと、社内のすべてのサポート担当者がオンボーディングの進捗状況を把握することができます。

初日オンボーディングチェックリスト

職場見学、同僚への紹介の実施状況の確認など、含めるべき主要な記入欄を示している初日オンボーディングチェックリストの例。

入社初日は慌ただしくなる可能性があるため、チェックリストがあれば物事を管理しやすくなります。このチェックリストは、本部で新入社員に挨拶し、建物のガイド付きツアーを実施するよう人事担当者に念押しするところから始まります。初日にオリエンテーションコースや自主学習コースを実施することで、新入社員は企業文化、方針、本質的なやり方に関する基礎知識を得ることができます。

ヒント: 職場見学は、新入社員を他部署に紹介し、仲間意識を強化できる有効な方法です。

30日オンボーディングチェックリスト

オリエンテーションコースや新入社員とのミーティングの実施状況の確認など、含めるべき主要な記入欄を示している30日オンボーディングチェックリストの例。

30日オンボーディングチェックリストを活用すれば、新入社員は最初の数週間を乗り越え、組織にスムーズに適応できるようになります。この段階のチェックリストでは、新入社員が順調かつ確実に企業のやり方や方針を理解できるように、残りのオリエンテーションコースを完了しているか確認する必要があります。

新入社員とマネージャーが1対1のチェックインミーティングを行うことにより、人事担当者は質問に回答したり、アドバイスしたり、従業員エンゲージメントを測定したりすることができます。さらに、最初の1か月が終了した時点でオンボーディング調査を実施することで、貴重なフィードバックを収集し、オンボーディングプロセスを継続的に改善することが可能になります。

ヒント: 分析ツールを利用して調査結果を確認すれば、採用プロセスとオンボーディングプログラムの傾向を特定するために必要な手作業を減らすことができます。

60日オンボーディングチェックリスト

マネージャーとのミーティングや補助がほとんど不要な業務の割り当ての実施状況の確認など、含めるべき主要な記入欄を示している60日オンボーディングチェックリストの例。

60日オンボーディングチェックリストをきちんと作成すれば、新入社員は継続的に成功を収め、組織に適応しやすくなります。このチェックリストでは、人事担当者とマネージャーがほとんど補助を必要としない業務を新入社員に割り当てることによって、独立と成長の機会を提供することを奨励しています。この段階では、新入社員に「自身は大切なチームメンバーである」と感じてもらい、仲間意識を築くことを優先しましょう。

また、60日が経過した時点でパフォーマンス指標の進捗状況をレビューすることで、建設的なフィードバックを提示できます。これで、組織として望むこととパフォーマンスを一致させ、個人の貢献に対するインサイトを提供できます。60日オンボーディングチェックリストを活用すれば、無事にオンボーディングを完了し、長期的な従業員エンゲージメントを構築することができます。

ヒント: 徐々に複雑な業務を割り当てるようにすると、入社から2か月の間に自信と理解を深められます。段々と難易度を上げていけば、従業員を最初から困惑させずに済みます。

カスタマーサービスオンボーディングチェックリスト

トレーニングコースの割り当てやKPIの説明の実施状況の確認など、含めるべき主要な記入欄を示しているカスタマーサービスオンボーディングチェックリストの例。

30日および60日オンボーディングチェックリストはどの職種にも適用できますが、それとは対照的に、カスタマーサービスオンボーディングチェックリストを活用すれば、職種に特化したオンボーディングが可能になります。カスタマーサービスオンボーディングチェックリストでは、新しいカスタマーサービス担当者が熟練して能力を発揮できるようになるためのステップ、タスク、トレーニングコースについて要点を説明します。

通常、チェックリストには製品やサービスに関する詳細なトレーニング、コミュニケーションスキルおよび問題解決スキルの開発、カスタマーサポートツールおよびシステムの説明などの実施状況の確認を含めます。

ヒント: 新入社員とロールプレイングを行い、顧客との実際のやり取りに備えましょう。

社内サポートツールチェックリスト

社内チケット管理システムやメッセージングツールの有無の確認など、含めるべき主要な記入欄を示している社内サポートツールチェックリストの例。

社内サポートツールチェックリストは体系的なガイドで、活用すればさまざまなソフトウェアソリューションを考案することができます。定期監査によって、チームが現在所有しているシステム、必要なシステム、そして交換が必要なシステムを明確にすることができます。体系的に監査を実施することで、ツールに不足している技術を確認・補足できるため、オンボーディングと業務効率を改善できます。

ヒント: 各ツールの統合可能性を明らかにし、ソリューションの相互接続性と全体的な実用性を把握しましょう。

よくある質問

オンボーディングプロセスで離職率を低減

効果的なオンボーディングは、チームメンバーの定着率向上と長期的な成功に直結します。特に近年は、テクノロジーを活用した包括的なアプローチが重要となっています。

Zendeskが提供する従業員エクスペリエンスソフトウェアは、コミュニケーションの効率化、情報の一元管理、効果的な社内サポート体制の構築を支援します。Zendeskを活用することで、新入社員の円滑な適応を促進し、組織全体の従業員エンゲージメント向上を実現することができます。

充実したオンボーディングプログラムの構築に向けて、ぜひZendeskのソリューションをご検討ください。組織の成長と発展を支える、確かなパートナーとして貢献いたします。

関連記事

記事

ITサービスデスクとは?AIを活用した次世代の従業員サポート基盤を解説

ITサービスデスクは、IT関連のあらゆる問い合わせや問題に対する窓口の役目を果たします。この記事では、ITサービスデスクの重要性や効果に加えて、AIを活用した業務効率化や生産性向上のポイントを解説します。

記事

ワークフォースマネジメント(WFM)とは? 意味・要素・事例

ワークフォースマネジメント(WFM)は、企業が業務を最適化するための一連の手法やプロセス、テクノロジーをです。本記事では、WFMの定義や要素、事例を解説します。

記事

今日から役立つチャットボットのシナリオテンプレート20選

チャットボットのシナリオや会話文をゼロから作成するのは手間と時間が掛かります。テンプレートを使えば、実用的なチャットボットをすぐにでも導入できます。本記事では、用途別に役に立つチャットボットのシナリオテンプレートを20個ご紹介します。

記事

ワークフォース最適化(WFO)とは? ワークフォースマネジメント(WFM)との違いを解説

ワークフォース最適化(WFO)とは、ワークフォースマネジメント(WFM)と品質保証(QA)を組み合わせて従業員の生産性と効率を最大化するビジネス戦略です。本記事では、ワークフォース最適化の定義やメリット、実施する方法を解説します。