固定資産税とは?支払いの納期や計算方法は?
固定資産税とは、土地、建物や償却資産などの固定資産を、1月1日時点で所有している者に対して課される税金です。納める金額は、市町村の決定した固定資産税評価額に基づき、その年の4月1日から翌年3月31日までの分が課されます。
- 固定資産税はいつ払うの?
- 固定資産税の金額は?計算方法って?
- 固定資産税を安くする方法は無いの?
こうしたお悩みをお持ちの方のために、固定資産税とは、課税対象や納期、そして計算方法から軽減措置までご解説いたします。
目次
固定資産税の対象となる資産
固定資産税の対象となるのは、土地、家屋および償却資産などの固定資産です。
償却資産とは、土地や家屋を除き、事業に使用することが出来るもので、機械や器具、船舶、航空機、車両、運搬具、備品、工具、構築物などの資産をいいます。
これらの固定資産を1月1日時点で所有している者に、その年の固定資産税の納税義務が生じます。ただし、自動車税や軽自動車税の対象となる車両・運搬具は課税されません。
なお、共同保有などによって、一つの固定資産に対して複数の所有者がいる場合には、登記簿上、先に記載されている人に納税通知書が送付されます。
固定資産税の納期と支払方法
毎年4月から6月になると、その年の最初の納税通知書が市町村から届きます。この納税通知書の案内に従って納税します。
固定資産税の納期は、各市町村が独自に条例で定めるため、市町村によって異なります。ただし、納税通知書は納付期限の10日前までには送達しなければならないと規定されています。月末が納期に設定されている場合が多いため、その月の上旬に納税通知書が届くケースが多いようです。
また、支払いについても市町村毎に異なり、多くの場合は年4回の分納ですが、一括払いを選択できる市町村もあります。支払方法も市町村によって異なりますが、多くの場合は以下の4種類から選択できます。
- 市町村・郵便局・金融機関・コンビニでの現金払い
- 口座振替による自動支払い
- ATM・ネットバンキングでのペイジー支払い
- クレジットカードでの支払い
納期までに支払えない場合は?
納期を過ぎてしまうと、納税通知書に同封されている支払用紙などが使えなくなる場合もあるのでご注意ください。また、延滞金というペナルティが加算され、支払金額が増えてしまいます。
延滞金の利息については、例えば平成30年の大阪市では以下の通りです。
- 納付期限の翌日から1ヶ月を経過する日までの期間:年2.6%
- それ以降の期間:年8.9%
滞納が続くと、督促状が届きます。督促状の案内を無視していると、預金や給与が差し押さえられる場合があります。お金に余裕がある場合には速やかに支払うと良いでしょう。また、どうしても支払いを行えない場合には、支払いが困難な理由を各自治体の窓口に赴き、説明することをオススメします。
もし、どうしても支払いが難しい場合には、市町村の窓口などに相談にいきましょう。減額や免除の制度が適用できるかもしれません。適用できない場合でも、猶予されて延滞金が免除されることもありますので、納期がすぎる前に相談にいくとよいでしょう。
固定資産税の計算方法
では、固定資産税の金額はどのように計算されているのでしょうか。固定資産税は、以下の方法で計算されています。
固定資産税評価額(課税標準額)×標準税率
固定資産税評価額とは、総務大臣が告示する固定資産評価基準に基づいて、各市町村長が価格を定めるものです。これは通常、固定資産税の対象となっている土地を売却する場合の想定額よりも低く見積もられており、公示価格の70%前後が水準になるよう設定されています。また、固定資産税評価額は3年に1度、評価が見直されることになっています。
標準税率とは、地方税法によって規定されている通常の税率をいい、1.4%が基本です。ただし、人口が著しく減少し過疎化していたり、財政危機に陥っていたりなど一部の市町村では標準税率より高い税率をかけている場合があります。
例えば、財政再建中の北海道夕張市の税率は1.45%、夕張市と同じく炭鉱業で栄えていたが閉山により過疎化が進む北海道三笠市の税率は1.75%となっています。
特例による固定資産税の軽減措置
固定資産税は上記のように算出されていますが、住宅用地と新築住宅の建物に関しては、特例による固定資産税の軽減措置が設けられています。
土地の場合
住宅用地に関しては、以下の軽減措置が設けられています。
小規模住宅用地(200㎡以下の部分):課税標準額×1/6
一般住宅用地(200㎡を超える部分):課税標準額×1/3
住宅用地とは、専用住宅の土地または併用住宅で建物の1/4以上が居住に用いられる土地を指します。
小規模住宅用地とは、住戸1戸あたりにおける200㎡以下の部分、一般住宅用地とは、住戸1戸あたりにおける200㎡を超える部分を指します。
例えば300平方メートルの敷地に住宅1戸を建築した場合、200平方メートルが小規模住宅用地、100平方メートルが一般住宅用地となります。
ただし、この軽減措置が受けられるのは、建物の課税床面積の10倍が上限とされています。
課税床面積とは、共用部を含む登記簿面積の各階の床面積の合計です。
一戸建ての場合、2階建てなど複数に階が分かれている場合、登記簿に記載されている床面積を足し合わせたものです。
マンションの場合、登記簿面積に共用部の自分の持分を足し合わせたものです。
建物の場合
建物に関しては、2018年3月31日までに新築されたものである場合、課税床面積120㎡までの部分について、以下の条件を満たすと3年または5年間固定資産税が1/2になります。
- 3階建て以上の耐火構造または準耐火構造住宅:新築後5年間
- 上記以外の一般住宅:新築後3年間
- 専用住宅
- 店舗併用住宅(居住用部分が1/2以上であることが必要)
- 居住部分の課税床面積が1戸につき50㎡以上280㎡以下であること
(※ただし一戸建て以外の貸家の場合は、40㎡以上280㎡以下)
加えて、長期優良住宅に認定されている場合、軽減期間が3年のものは5年に、5年のものは7年になります。長期優良住宅とは、長期にわたって良好な状態で使用できるための措置が講じられている住宅をいいます。具体的には以下の条件を満たすような住宅です。
- 耐震性(地震に強く、倒壊しづらい)
- 耐久性(構造や骨組みがしっかりしている)
- 省エネルギー
- 居住環境(町並みと調和している)
具体的な計算例
では、最後に、公示価格が6,000万円、75㎡の住宅用地を例として、固定資産税の金額を計算してみましょう。この場合、以下の計算式を用いて算出します。
固定資産税額=固定資産税評価額(課税標準額)×軽減措置(適用される場合)×標準税率(1.4%)
固定資産税評価額は、公示価格の概ね70%程度になります。そして今回のケースでは、75㎡の住宅用地のため小規模住宅用地にあたり、「課税標準額×1/6」の軽減措置を受けることができます。したがって、固定資産税の金額は以下のようになります。
6,000万(公示価格)×70%×1/6(軽減措置)×1.4%(標準税額)=98,000
よって、この場合は98,000円の固定資産税が課されるということです。
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※ゼネラルリサーチ調べ