過激な性描写が含まれた作品などを指定し、青少年への販売を禁じている東京都の「不健全図書制度」。その「不健全」という名称の変更を求める動きが、漫画家を中心に広がっている。行政に「不健全」と断じられることが誤解を与え、規制対象外である成年向けの販売までなくなり、創作物の命が奪われる事態も生まれているからだ。有志が都議会に陳情を出して改善を訴えている。
「最近では、不健全図書になると『売れない』と判断されて、本屋さんの取り扱いがなくなることがある。それは発禁処分に相当します」
ボクシング漫画「はじめの一歩」で知られる漫画家の森川ジョージさん(57)は夕刊フジの取材に、制度が与える弊害をこう話した。
陳情の賛同者には、森川さんのほか、ちばてつやさん、福本伸行さん、真島ヒロさんら多くの漫画家が名を連ねている。
都は、青少年健全育成条例に基づき月1回ペースで開かれる青少年健全育成審議会で、「不健全な図書類」を指定している。条例では指定理由を「著しく性的感情を刺激し、甚だしく残虐性を助長し、又は著しく自殺若しくは犯罪を誘発するもの」などとしているが、直近数カ月の審議会の議事録を見ると、すべてが性的感情を刺激するものが理由となっている。