ゆとりずむ

東京で働く意識低い系ITコンサル(見習)。金融、時事、節約、会計等々のネタを呟きます。

費用と原価の違い

なんちゃって原価コンサルのらくからちゃです。

日常生活では、ほぼ同じような意味で使われる『原価』と『費用』ですが、会計用語としてはどう使い分けるのでしょうか?(*´ω`*) 一応、飯の種にしている商売道具ですので、きちんと確認しておきたいと思い、調べた結果をまとめてみます。

余り語られない原価と費用の違い

日常用語としてはざっくり『コスト』としてまとめられる一連の言葉について、会計用語では以下のように定義し使い分けます。

支出

現金の流出。例えば、自動車を購入した場合、物の引渡しとお金の支払のタイミングはずれ込むことが一般的だと思いますが、実際に現金(厳密に言うと現金同等物)が社外に流出したタイミングにて『支出』としてカウントします。

費用

損益計算書を作成するために、収益から控除して利益を求めるためのもの。収益費用対応原則にもとづいて求める。・・・なんのこっちゃ?

これだけだと意味不明だと思いますので、以下のように考えます。

  • 材料を買ったり、機械を買ったり、今期は沢山の買い物をした。
  • 材料も設備も、まだ来年以降使える。
  • 収入-費用=利益 来年以降も使えるものの為に使った分も今期の費用としてしまうと、今期分の利益が見えなくなる。
  • その為、材料については今期使った分だけ、設備については来年以降も使うものは、期間分割して今期分だけを費用として認識する。

というようなことを行います。これを、収益費用対応原則と言うわけですね。

損失

買ってきた機械が急に故障した!機械が故障したことによって得られる収益は有りませんので、収益費用対応の原則で考えると、どの収益にも対応しない費用ということになりますね。これを、会計用語では『損失』と呼びます。

あれ?『原価』はどこに行った?

『費用と原価の違い』なのに、原価についての説明がないやんけ!(●`ε´●)と思ったあなた。同感です(∩´∀`)∩ワーイ

あ、ふざけてるわけではなく、『企業会計原則』上は、原価についての明確な定義につながる記載は有りません。そもそも、原価という用語は、『取得原価』『仕入原価』『製造原価』『売上原価』というような使い方で用いています。ちなみに、こんな感じで利用されています。

損益計算書原則 三 営業利益 C 売上原価の表示方法

売上原価は、売上高に対応する商品等の仕入原価又は製造原価であって、商業の場合には、期首商品たな卸高に当期商品仕入高を加え、これから期末商品たな卸高を控除する形式で表示し、製造工業の場合には、期首製品たな卸高に当期製品製造原価を加え、これから期末製品たな卸高を控除する形式で表示する。 

では次に、『原価計算基準』についても見てみましょう。

第一章 原価計算の目的と原価計算の一般的基準 三原価の本質
(二) 原価は、経営において作り出された一定の給付に転嫁される価値であり、その給付に係わらせて把握されたものである。ここに給付とは、経営が作り出す財貨をいい、それは経営の最終給付のみでなく、中間的給付をも意味する。

いかにもお役所の人の作った文章ですね(笑)。この文章の中で、ポイントとなるのは、『経営が作りだす財貨』に係る何かというところでしょう。つまり、材料の取得原価といえば、材料に対応する費用。製造原価といえば、製品に対応する費用。売上原価といえば、売上に対応する費用。それぞれ、明確な相手を意識して用いています。

税法からのアプローチ

 では、会計基準を一旦離れ、税法上はどのように利用されているのかについても見てみましょう。

法人税法22条3項の「損金の額」

3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。

一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

ここでも、原価・費用・損失を分けて認識していますね。ここでのポイントは、『収益に掛かる』というキーワードです。 つまり、原価とは明確に収益に対応するものとして定義されています。

ちなみに、費用の定義を見ると、カッコ書きにて、『債務の確定しないものを除く』とありますが、まさに企業会計と税務会計の一番のポイントとなる項目がさらっと書かれていますね。

製造費用と製造原価

さて、上記を加えた上で、改めて原価と費用の関係について整理してみましょう。『原価』ては、何かを作り出す為に実際掛かった費用ということになります。原価計算について議論する際は、そこを厳密に区別する必要があります。

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つまり、『費用』とはインプットの金額であり、『原価』とはアウトプットの金額になります。その関係は一対一になることも多く有りますが、仕掛品等の調整が入る場合に、金額に差が生まれます。

なお、この解釈は私が適当に調べた結果をまとめたものですので、内容について責任はもちかねますので、ご容赦ください(´・ω・`)

ではでは、皆様のお役に立てば幸いです。