Bon Vin , Bon Sake , Bon Fromage

ブルゴーニュワインとチーズをこよなく愛するシニアのブログです。素晴らしいお酒とチーズの出会いを中心に日常を綴ります。

ブルゴーニュ栄光の3日間~後編(オスピス試飲会&オークション)

ブルゴーニュ最大のワインの祭典「栄光の3日間」のメインイベントは、日曜日に開催されるオスピス・ド・ボーヌのワインのチャリティオークションです。
オークションに先立ち、オスピスのカーヴ内で行われるオスピス・ド・ボーヌの試飲会に参加しました。

「栄光の3日間」が開催される11月の第3週末のボーヌの街には多くの屋台が並びます。特に土曜・日曜は多くの観光客で溢れ、様々なイベントが開催されます。

↓修道僧・修道女の民族衣装を纏った人たち

↓様々な屋台が立ち並び、賑わっています。

牡蛎の屋台も目立ちました。ブルゴーニュバターを加えオーブンで焼いたブルゴーニュ風が有名ですが、フレッシュな生牡蠣も楽しんでいるようです。ちょっとそそられましたが、あたるのを恐れて我慢しました。

↓帽子を売っているのでしょうか?ちょっと怖い。

↓大がかりな遊園地もできていました。

↓こちらは、コルクの早抜き大会です。

↓優勝すると認定書とワインがもらえるようです。

チャリティオークションに出品されるワインの試飲会は、オークション参加者向けには前日に開催されるようですが、それとは別に一般客向けのオスピス・ド・ボーヌの試飲会が、土曜日の正午からオスピスのカーヴ内で開催されます。この試飲会、パレ・デ・コングレの大試飲会と異なり、事前予約ができません。その為、正午前から列に並ぶ必要がありました。入場料は30€でした。

↓入り口で試飲用のグラスを受け取ります。

↓カーヴ内部です。天井が低く思ったより狭いです。

↓バタール・モンラッシェとクロ・ド・ラ・ロシュの樽です。ちなみに、今年のバタール・モンラッシェは、35万5000€で落札されたようです。

以下、当日、試飲できたアイテムです。

1.[2022]Pouilly Fussé Cuvée Françoise Poisard
2.[2019]Beaune Les Montrevenots 1er Cru Cuvee Suzanne et Raymond Blanc
3.[2018]Meursault Cuvée Loppin
4.[2017]Corton Grand Cru Cuvée Docteur Pestez(Blanc)
5.[202?]Monthélie Les Duresses Cuvée Lebelin
6.[2021]Pernand Vergelesses 1er Cru Cuvée Rameau Lamarosse 
7.[2021]Savigny Les Beaune 1er Cru Cuvée Arthur Girard
8.[2020]Beaune 1er Cru Cuvée Clos des Avaux
9.[2017]Volnay 1er Cru Cuvée Blondeau
10.[2005]Corton Grand Cru Cuvée Charlotte Dumay

白4アイテムです。2018年のムルソーが熟成感も感じられ好印象でした。コルトンの珍しい白ですが、写真は残っているものの、何かに気を取られていたのか、ちょっと記憶に残っていません。

赤の6アイテムです。9の2017年のヴォルネイ・プルミエ・クリュが果実味とタンニンのバランスが取れており、滑らかな味わい、そこそこ熟成も感じられ、好印象でした。やはり、2017年は今飲んで美味しいです。
この日の目玉は、最後の2005年のコルトンです。2005年のオスピス・ド・ボーヌのグランクリュは、マジ・シャンベルタン・キュヴェ・マドレーヌ・コリニョンを2度ほど飲んでいますが、とても素晴らしいグラン・クリュでした。今回のコルトンについては、力強さや複雑さは、まさにグレートヴィンテージのグラン・クリュを感じさせるものでしたが、思ったよりもタンニンが硬く感じられ、ちょっと閉じている印象でした。
8のボーヌについては、少し木質の違和感が感じられ、軽いブショネでは?という意見が出ていました。

↓土曜日の昼食は、屋台でエスカルゴとシャブリです。美味しい!

ちなみに、日曜日の昼食は、こちらの有名店での屋台で。モンドールに惹かれましたが、ちょっと重すぎるので、結局、クロックムッシュ(ホットサンドイッチ)とオニオン・スープをオーダー。

ワインは、持ち込みです。

メインのチャリティオークションは、午後2時から始まります。会場前に人垣ができているのは、オークションに登場するゲスト有名人を待ち構えていたようです。
後日調べたら、参加した有名人は、ドミニク・ウェスト(パイス、ザ・クラウン)、エヴァ・ロンゴリアデスパレートな妻たち)、ジャン・レノなどだったようです。正直ジャン・レノ以外は知りません。

午後2時を結構過ぎたところでメインイベントのオークションが始まりました。
このチャリティオークションで、ワインは樽単位で取引され、その収益はすべて慈善事業などのために利用されています。

オークション会場には、オークション参加者(入札者)しか入れないので、一般の人は広場のパブリック・ビューイングで見学します。
↓オークション開始直後は、こんな感じでしたが

↓夕方近くなると、凄い人混みになります。

オークションは淡々と進みます。
ボーヌのプルミエ・クリュで1.7万€(270万)/樽ほどで落札されていきます。

落札は、必ずしも会場での参加者に限らず、電話で入札者とやりとりしている様子が映し出されます。10万€を超えるGCが落札されると拍手が沸き上がります。
↓夕方まで見学していましたが、その範囲で、最も高額だったのが、Mazis Chambertin Cuvee Madeleine Collignon(Lot.118)で、最終的な落札額は、16.7万€(約2700万)でした。1樽で750ml瓶300本分なので、1本約9万円ということになります。当然ながら、今後の熟成に掛かる費用等を考えると、ちょっと手が出そうにありません。

17時過ぎに参加者の挨拶があり、後半になりますが、結構寒くなってきたので、パブリックビューイングから引き上げました。

この後にも、オークションは続きましたが、結局、大幅な収穫減となった今年のオークションは438樽と3半樽で、昨年(2023年)の60%未満にとどまったようです。
後日、落札結果をサザビーのオークション結果から確認しました。

最も高値で落札されたのは、チャリティー樽ピエス・デ・プレジデント(Pièce de Charité)で、46万€(約7400万円)でした。何とグランクリュではなく、ボーヌ・プルミエ・クリュ・ブレッサンドです。ただ、プレス発表では36万€となっているので、恐らく手数料を含んでいる価格かと思います。
Satheby'sで、このチャリティチャリティ樽以外の10万€以上の高値落札額を見ると、

エシェゾーGC 18.9万€
バタール・モンラッシェGC 38.3万€
コルトン・シャルルマーニュGC 12.4万€
クロ・ド・ロッシュGC 16.2万€
マジ・シャンベルタンGC 16.7万€

となっています。
どのグラン・クリュも小売価格は軽く10万円を超えているので、値下がりは、全く期待できそうにありません。

ちなみにプレス発表によると、2024年のオークションの総売上げは、1440万4200€(昨年は2978万8500€)で大幅に減少しましたが、これは、収量減の影響で、1樽平均は31,540€(昨年は、30,389€/樽)と僅かに上昇していることから、価格低下は望めないようですが、大幅な価格上昇にはつながらないかと思います。ただ需要と供給の関係もあるので、そうなるかは判りません。

パレ・ド・コングレの大試飲会、オスピスの試飲会、そしてチャリティーオークションと非常に充実した至福の3日間でした。一生に一度はと思っていた栄光の3日間ですが、機会ががあれば、いつかまた訪れたいと思います。

最後に、今回アテンド頂き、色々とお世話になったボーヌ在住のガイドの花田砂丘子さんに深く感謝申し上げます。