時際法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/10 14:10 UTC 版)
時際法(じさいほう)は、ある行為の法的効果は、訴訟上の請求がなされた時点の法によってではなく、行為の時点の法によって決定されるべきとする国際公法上の原則である[4]。領域の帰属をめぐる国際紛争では、過去数世紀にもわたる事実や条約の解釈が争点とされて歴史的な権原が援用されることも少なくない[5]。ところが時代の経過とともに国際法の原則は変化をしている[4]。そこで、時代によりそれぞれ異なった法制度が行われている中で、どの時点の法を適用して紛争を解決するかという点が、領土の帰属に関する国際紛争においては特に問題となるのである[4][5]。時際法の理論においては、領域権原を有効に取得したかどうかは一般的にその行為の当時に有効であった国際法に従って判断される[5]。これにより遡及立法は禁止され、条約の解釈はその条約が締結された時点で有効であった国際法上の一般原則に基づいてなされなければならないこととなる[4]。新規立法や既存の法の改廃によって同一の対象に対して適用されうる複数の法が存在する場合があるが、時際法の理論によってそれら複数の法の適用関係が決められることとなる[6]。
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