2017年11月16日 06:00
こんにちは、3度の飯よりテレワークが好き(ただしカレーを除く)、佐々木です。
「テレワーク」をご存知ない方にざっくり説明すると、職場に出勤することなく自宅やカフェ、サテライトオフィスなどでいつも通り働くこと。7月に実施したテレワークデイでは、時間を有効活用できるし、息子の夏休みの宿題はできるし、家族の絆は深まるし、自家製カレーはうまいしで、いいことづくめだったことは前回の記事でお伝えした通りです。
その時に気を付けなければと感じたのは、会社で働いている同僚との気持ちのよいコミュニケーションの確保です。携帯電話やメール、SNSなど、インターネットのおかげでコミュニケーション手段には事欠かない時代ですが、日本の会社では多人数が集まり対面で行う「会議」は、まだまだ主流のコミュニケーション手段です。そして私は週に約15時間、10回前後の定例会議があることに、この原稿を書いていて気が付きました。どおりで有休消化できないわけだ……。
テレワーク浸透への最大の関門の一つは、テレビ会議の「音」
前回のテレワークデイでは、同僚にWebカメラを接続したノートPCを会議室に持ち込んでもらい、Skypeで会議に参加しましたが、その時問題だったのは「音」でした。
会議室で席の遠い人の声は聞こえず、近い人の声は音割れし、同時に喋った人の声が聞き取れず、こちらが話すと向こうの声が聞こえなくなる。逆に私の声も、ノートPCのスピーカーを通して細った音は遠い席の人に届かず、音量を上げれば割れて歪んで近くの席の人には聞き苦しかったでしょう。1対1なら問題ないノートPCのマイクとスピーカーも、10人前後がディスカッションする会議室での利用にはとても堪えません。考えるまでもなく、「パーソナル」コンピューターの「マイク」と「スピーカー」ですから当然です。
何よりも、会議室にいる上司や同僚の、テレワークに対する印象が悪くなるのは困ります。ただでさえ「俺たちは出勤してるのに、お前ときたら家でのんびりしやがって(・д・)チッ」とか思われているに違いありません。順調な進捗報告であっても音が悪いと「なんか進捗、ダメそうじゃない?」と思われたり、「お前、家だと何言ってるかわからないからテレワーク禁止ね」とか言われたら元も子もありません(被害妄想)!
損をしない「音」を求めて
じゃあ、きちんと多人数に対応したマイクとスピーカーを使ったらいいんじゃないか? そう思ってググっていたら見つけたんですよ、Skype for Businessに対応したマイクスピーカーシステム「YVC-1000MS」。
YVC-1000MSは、企業向けのOffice 365で提供されているSkype for Businessに対応したモデルで、8~40人規模の会議に最適ということで、弊社の会議参加人数(10人前後)にもジャストフィット。双方向の会話に適した「適応型エコーキャンセラー」や、ノイズを抑えて声だけを伝える「ノイズリダクション」、近い人と遠い人の音量を調節する「オートゲインコントロール」、音の響きを抑える「残響抑圧」、スピーカーの音を聞き取りやすくする「オートルームEQ」、話している人を追尾する「マイクアレイ制御」とか、「きさま!見ているなッ!」と思わずうなるほどに私の感じた課題をすべて網羅していて、さすがヤマハさんよくわかってるとしか言いようがないスペック。
しかも検証用に無料で1週間貸し出してくれる、って書いてあるじゃないですか。さっそくヤマハさんにお願いして借りてきました!
台風21号の直撃で狂った予定、その時テレワークは……
そんなテレワーク最強環境の準備をするなか、季節外れの超大型の台風21号が週末から週明けにかけて関東を直撃という事態が発生、予定は大きく狂います。
「いや、台風で出社できないとか、テレワーク的にはオイシイじゃない?」と思われるかもしれません。実は、その台風直撃の週末は、息子の運動会の予定だったんですね。で、東京に大雨が降ったのは土曜日から月曜日朝まで、月曜日の昼にはカラッと秋晴れの空が広がっていました。
つまり、「月曜日から普通に出社できる」のに「運動会は火曜日に延期」されてしまったのです。いかに厚顔無恥のアラフォーおっさんの私でも、まだテレワークが制度化されていない我が社で「息子の運動会なのでテレワークしますね!☆(ゝω・)v」なんて無邪気なことを言う勇気はありません(将来的には堂々と言いたい)。
そんな悩める私に天の啓示が下ります、「逆に考えるんだ……テレワーク中に私用をするのではなく、私用の合間にテレワークをするんだ……」。私の場合、自宅から会社までドアツードアで往復3時間、普通に出勤すると朝8:30に家を出、仮に午後半休扱いで退社しても帰宅は15:30、運動会の開会式はもちろん午後の競技にも間に合いません。しかし、通勤時間さえなくなれば、始業前と午後半休で運動会の大半に参加できるのです。
テレワーク当日の流れ
08:00 息子登校、テレワーク会議の準備を進める
08:50 通常なら出社するところ、小学校に向かう
09:00 運動会開会、開会式を見て息子の徒競走を応援
10:00 一時帰宅してテレワーク会議の待機
10:30 テレワーク会議開始
12:30 テレワーク会議終了、昼食を食べながら午前中受けたメールの対応など残務を行う
13:00 午後の競技を見るため、再び小学校へ
これだ、さすが社畜の私。息子が出場する競技と競技の合間に仕事をこなす、完璧なスケジュールです。さっそく会議に参加する同僚に、ノートPCと検証用に借りたYVC-1000MSの設置をお願いして当日に備えます。
こうして迎えた運動会当日、空は見事に晴れ渡り、台風一過の絶好の運動会日和。もしテレワークを活用せず出社していたら、私はきっと空を仰いで神を呪っていたことでしょう。いつも通り子どもたちを送り出したあと、テレワークの準備をしてから運動会に赴き、開会式から徒競走の応援までを済ませたところで帰宅、いよいよテレワーク会議の開始です。
ウホッ、いい「音」!
今回、自分の声の聴こえ方と会議参加者の反応を客観的に観察するため、会議室にビデオカメラを設置し、会議の一部始終を録画してみました。おおっ、見違え、もとい、聞き違えるほどにいい音。テレワークしているはずの自分が、まるで会議室にいるかのような音じゃないですか!
参考に、自宅でテレワーク中の私の地声も録音してみました。同じシーンで聞き比べてみると、ほぼそのままの声が会議室に伝わっていることがわかります。しかもこれ、特に声を張っているわけではなく地声ですよ。むしろ会議室にいる同僚の方の声が、か細く聞こえるくらいです。
また、自宅側はノートPC(Surface Book)の内蔵スピーカーとマイクを利用しましたが、音の聞き取りや会話はまったく問題ありません。会議室中央に設置したYVC-1000MSのマイクが、近い人の声も遠い人の声もしっかり拾って、聞き取りやすい音量で届けてくれるため、以前の課題でもあった、会議室側の音声が聞こえない、ということもありません。Skype for Businessの会話も遅延はほとんどなく、とても自然なディスカッションができました。
結果は大満足。後日、会議に参加した同僚にも聞いてみましたが、音声はまったく問題なかった、と評判も上々でした。また一歩、テレワーク正式導入の野望実現に近づいた……!
ちなみに、無線LANなどのネットワークの速度が足りない(数百~数十kbpsまで落ちるような)場合、音声がこもったり途切れたりすることがあります。これはマイクやスピーカーでは改善できないので、できるだけ有線LANで接続するか、電波状態のよい無線LAN環境を用意するようにしましょう。
また、何回かテレワーク会議をしてみた感想としては、テレワークにおける会議は音声だけより断然テレビ会議がオススメです。もちろん音声のみでも会議には参加できますが、コミュニケーションが成立しにくくなります。例えば会議のとき、突然話を振られる場面を想像してみてください。話を振る人は、振りたい人の方を向く、アイコンタクトを送る、身を乗り出して話しかけるなど、何らかの合図を送っています。音声だけのテレワーク会議ではこの「キュー」を見逃してしまい、スムーズなコミュニケーションが成立しにくくなるな、と感じました。
働き方は変えず、テレワークを上手に利用するのもアリ
「働き方改革」という用語だけはよく聞くようになりましたが、ワンフレーズの標語ばかりが横滑りして、労働側からは「時間外で働かせたいだけ」、経営側からは「出社しない社員が外で怠けるだけ」、といったネガティブな意見も耳にします。そもそも私は、働き方を「改革」するというと、どうしても「既存のやり方を壊し、新しいものに変える」というスクラップアンドビルドのように聞こえてしまい、この表現があまり好きではありません。
そもそも「改革」しなくても、ITの力を使った新しい働き方を「追加」できることはたくさんあると思っていて、今回編み出した「テレワークを組み合わせることで、時間を有効活用する半休」もその一つです。今度は、客先訪問の合間にある会議にわざわざ帰社せずに、無線LANサービスのあるカラオケボックスからテレワーク参加というのを狙っています。きっと絵面はカラオケしているようにしか見えませんけどね。
繰り返しになりますが、会社にいる人もテレワークをする人も、お互いが気持ち良く仕事をするには気持ちの良いコミュニケーションが大事です。その場にいないからこそ電話やメールやSkypeなどを上手に使い分けながら意識的にコミュニケーションをすることで、情報共有と意見交換が活発になって、可処分時間も増えて生産性も上がる、そんなテレワークをしたいものですね。
それでは、また。
(協力/ヤマハ株式会社)