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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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映画「ジョーカー」を観て「Extravaganza」という傑作エロゲーを思い出したのでそっちの話をする

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勝手に人の感想を読ませていただいておきながら、なんとも無礼な話であることを承知で言うと、観る前はいろんな語りをみてワクワクしていたのだけれど、いざ見終わった後だと「どうしてこう映画好きというのは感想がいちいち大げさなのか」みたいな気分になってる。


世間で大騒ぎされるほどの問題作だとは思わなかった。というか普通にめちゃくちゃ面白いエンタメ作品だったので、映画好きの人の過剰なおどかし表現は気にせず、気楽に見に行ってほしい。


映画「ジョーカー」そのものについては↓で感想を書いたので、今回はその周辺の話をします。
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あんまり特別な話として大騒ぎする必要はなく、素直に一つの物語として楽しめばいいと思う

個人的には「ジョーカー」というあまりにも有名なキャラクターの話でなければそこまで大騒ぎするような話ではないと思う。

「この後、この男が何十年も通用するレベルの悪のアイコンとして活躍する」という情報があるからこそ重要なのであってその情報がなければ、そこまで特別な物語ではないと感じる。

「いやいや、その情報があるからこそ、アレックスの普通ぶりが恐ろしいんじゃないか、誰もがジョーカーになりうるということや、そのことが一切否定されず、自分も引き込まれそうになるパワーがすごいんじゃないか」と言われそうだけれど、それ言い出すと「客は料理じゃなくて情報を食べに来てるんだ」的な話になってしまうんじゃないだろうか。あんまり結果からの逆算みたいなことを言い出すのであれば、「マイノリティ・レポート」みたいにこの人物と同じような経緯の人間は芽の段階から摘んでいくべきという話になりむしろそっちの方が恐ろしい。


「ジョーカー」評と「第三者効果」について

むしろ、私は今更になって「人間は誰でもジョーカーになりうる」なんて事実を突きつけられてうろたえるような人間のことなどどうでもいい。(そんなことを考えたこともない人なんていないはずだし、実際は誰もがジョーカーにはなれない。その前に壊れるから)

そうやって騒いでる人間には「第三者効果」という言葉を意識してもらいたいなと思う。
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「自分は大丈夫だけどこの作品に流される奴いるだろうなー俺は大丈夫だろうけどなー」みたいなミサワみたいなことをどや顔でいうのはやめてくれー。


日本にも「魔法少女の快楽闇堕ち」とか「カオスヒーロー」っているよね

私はこの作品見てて「悪を成すことの快楽」の描写がすげえなと思った。

この作品はなによりも根本としては「快楽闇落ち」ものだろう。

とすると、そういう作品は日本でも結構ありふれている。魔法少女の闇墜ちとかいいよね…。

別にエロ方面に限らなくても、メガテンシリーズに親しんでいる人であれば「アンチヒーロー」「カオスヒーロー」は慣れっこであろうし特にペルソナ4の足立くんはよかったよね。小人物の彼が、偶然手に入れた力を最悪のタイミングで行使してしまい、その力に溺れていく様はとても素晴らしかった。彼が力を手に入れる経緯には黒幕がいるので、ジョーカーと比べたら純度が堕ちるかもしれないが、人物造形としても「世の中クソだな」という決め台詞に代表されるように実にわかりやすくて私は結構好きでした。

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逆に言うと、(あくまで作り話かもしれないが)ジョーカーという人間ですらその快楽に流されていったと考えてしまうと、私の中では逆にジョーカーの魅力が落ちてしまうので、この作品はあくまでジョーカーの作り話として認識しておくことにします。



Extravaganzaという超名作について語りたい

しかし、ジョーカーに関連して今私が最も語りたいのは「Extravaganza」というエロゲーの「蟲姫様」エンディングである。


この作品は絶望の中での苦悶からの悪や破壊への快楽に酔いしれる描写の両方が備わってる作品だ。

映画「ジョーカー」に共感したというのであれば、このゲームをクリアできるはずだ。このゲームを最後までクリアできる同志を求む。


<あらすじ>
ある少女がある日交通事故にあい、全く自分の意志に寄らず体内に特別な「蟲」を植え付けられてしまう。

作品中の世界には「蟲使い」という一族がおり、伝承ではその「蟲」を宿したものは一族を滅ぼすことになっていた。そのため、少女はなんにも悪いことをしてないのに、受動的に理不尽な宿命に巻き込まれることになる。


この後の少女はぶっちゃけジョーカーの苦境すらかわいく思えるほどにひどい目にあい続ける。

少女は「蟲」を宿したことによって普通の人間だと即死するような傷を負っても再生してしまう体になってしまう。「月姫」のシエル先輩のようなものだ。そんな彼女は、自分から誰も傷つけたりしないのだが、彼女の存在を憎む者たちやマッドサイエンティストなどに捕らえられて、徹底的に人体や精神を破壊されるなどのえげつない仕打ちをたびたび受ける。「月姫」のシエル先輩と違って、彼女自身が蟲を制御できずに誰かを傷つけたということもなくただただ被害者なのが苦しい。


また、ゲームでは途中でかなり多くの選択肢があり細かい分岐が死ぬほどたくさんある。しかしほとんどは主体的な選択ではない。「どっちを選んでもひどい目に合うがどっちの苦痛の方がまだましか?」を選ばせてもらえるだけだ。


その理不尽に耐え続ける期間が作品内の時間で15年くらい続く。プレイ時間としても40時間くらい


プレイしてる最中はちょっとした無間地獄感を味わえる。

・主人公の少女はただタフなだけで基本的に無力なので、何度も何度も何度も殺され続ける。
・憎悪で殺されるならまだましな方で、好奇心や気まぐれで殺されてはまた再生する。
・地獄から逃げ出したかと思ったらまた別の地獄につかまる。
・助けてくれる人もいるがその人はその人で自分を利用しようとしているだけで別の形でまたひどい目に合う。
・普通の人間の恋人もできるが無力なのでむしろ彼が足かせになってまた地獄にとらわれたりする。
・さらに、ゲームを進めるために細かい分岐を回収する必要があり、そのためには、何度も同じ死に方を自分の意志でやり直さなければいけない。


明らかにプレイヤーの心を折るためのシステム設計だと思う。主人公の少女は基本的に死ねないので、物語中でも少女の心が折れた時点でバッドエンドになるのだが、プレイヤーもきつい。直接心身を傷つけられることはないものの、あまりにもこの作業が苦痛で頭がおかしくなりそうになる。だんだんともう生きるのが嫌になる一方で、こいつら全部皆殺しにしたいという気持ちにもなってくる。

これほんとに自分でやらないと言葉で説明されてもわからないと思う。めっちゃしんどいです。ジョーカーのような気分をこれでもかと味わえるのでおすすめ!


「誰も傷つけず家族を守って生きる道」も「すべてを憎み滅ぼす道」もどっちも等価なエンディングとして扱われる

このひたすら耐え忍ぶしかない選択の蓄積は、少女が成長して大人(成体)になった時に影響する。最終的に主人公は「家族を守って生きる」道と、「伝承通りに蟲使いすべてを滅ぼす蟲姫様になる」の二つのエンディングに派生する。


前者は恋人がチベット狂になってしまうという悲劇を除いてはありふれたエンディングである。もちろん家族愛がしっかり描かれていて素晴らしいしこれはこれで感動する。(※なお、この作品の人気投票一位は主人公でも恋人でも娘でもなく、一言も発したりはしないが少女の体内に宿され、宿主である少女を守り、ともに15年間戦い続けた「蟲」くんである。)


だがやはり後者のエンディングが印象的だ。後者は「蟲使い」をめぐる理不尽な宿命に苦しめられてきた少女が今まで溜めてきた恨みをすべて解放するカタルシスにあふれている。一般的には「正義の少女が闇墜ちするバッドエンド」に位置づけられるかもしれないが、この作品においてはれっきとした正統エンディングである。

この物語は、あくまでも理不尽な運命において心を折ることなく生き続けることがテーマだからである。そもそも作品では、作品中での倫理観が全て破壊されつくしており、彼女はそれだけの復讐をする資格があると十二分に描かれている。蟲使い一族が存続することの正当性は作中であまり描かれていない。

ずっと耐え忍んで、その怒りをため込み続け、それをついに解放するのは相当な快楽だったようであまりに快楽すぎて目は完全に無表情なのに口元だけが緩んでいるエンディング絵はとても素晴らしい。

この作品と「神語」という作品は、それほどメジャーではないがめっちゃ面白いのでおすすめダゾ。

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そういえばなんか「若おかみは小学生」と比較してるやつあったけど若おかみもいいぞ!グローリー様ホント好き。
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