徳島県知事選が9日投開票され、無所属で自民党の前衆院議員の後藤田正純氏(53)が当選した。過去に女性スキャンダルで揺れ、永田町では居場所を失っていたが、地元で圧倒的な強さを見せ、ようやく活路を見いだした。

「新時代の扉を開けることができた」と保守分裂の知事選で圧勝した後藤田氏は〝カミソリ後藤田〟の異名を取った後藤田正晴元官房長官を大おじに持つサラブレッド政治家だ。

「〝お嫁さんにしたい女優ナンバーワン〟だった水野真紀との結婚で、さらに箔をつけ、将来の首相候補と嘱望された時期もありました」(自民党関係者)

 ミソをつけたのは度重なる女性スキャンダルだ。2011年に銀座クラブホステスとの不倫が報じられれば、18年にも結婚詐欺騒動が持ち上がった。

「水野真紀とは離婚危機とささやかれ、若手では数少ない改革派でしたが、党内では腫れ物扱い。総裁選では石破茂氏の応援に回って、2年前の衆院選も比例復活で、大ベテランながらも先はなかった」(同)

 衆院議員を辞職して、背水で臨んだ知事選では、昨年公開された映画「ONE PIECE FILM RED」の主題歌「新時代」(Ado)に引っ掛けた「徳島新時代へ」を標語に徹底的な徳島活性化策を掲げた。

 タイや成田との直行便就航やアリーナ構想では「徳島にアリーナをつくればジャニーズに会える。全国からファンが集まる」と分かりやすく具体的な案で支持を拡大していった。

 これまで選挙のたびに地元入りしていた水野も今回は表立っての活動はなかったが、代わりにサポートしたのがアスリート軍団だ。プロレスラーで石川県の馳浩知事が応援入りすれば、ネット上では親交があるソフトボール日本代表の宇津木麗華元監督や元プロ野球選手の清原和博氏らが激励メッセージを寄せ、政策の実現性や親しみやすさのアピールに成功した。「国の制度も古いのがある。地方の知事さんたちと打破したい。課題は現場にある。現場の声で国も法律も規制改革していく」(後藤田氏)。

 国政では日の目を見なかったが、県知事として、政策通の本領発揮できるかが注目される。