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試合やって良かった…小笠原「サッカー見てるよ」の言葉胸に

[ 2011年3月30日 09:10 ]

<日本代表・J選抜>Tシャツに「東北人魂」と書き込んだ小笠原

東日本大震災復興支援チャリティーマッチ 日本代表2―1Jリーグ選抜

(3月29日 長居)
 東日本大震災で被害を受けた岩手県出身で、29日の復興支援試合にJリーグ選抜で出場したMF小笠原満男(31=鹿島)がスポニチに独占手記を寄せた。震災後、被災地を訪問し避難所で被災者と触れ合った元日本代表は、そのとき送られた言葉を胸に、試合のピッチに立った。

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 いろいろな意見があったと思いますが、試合をやって良かったと思います。多くの人に集まってもらって何か感じてもらえたんじゃないかな、と。試合中は被災地で頑張っている方々のことばかりが頭に浮かびました。個人的にはミスが多かったけど、チームメートが助けてくれた。被災地の皆さんも助け合って生活していますが、サッカーも助け合いだと、あらためて実感しました。

 最初にJリーグ選抜としてチャリティーマッチに出場するという話をいただいた時には辞退も考えました。家を失った方や身内を亡くした方もたくさんいる中で、サッカーをしている状況ではないと思ったから。でも被災地の方々から「いつもサッカー見てるよ」と言葉を掛けてもらい、気持ちが変わりました。サッカーも被災地の力になれることの一つと思い出場を決意しました。

 震災発生後の17日から23日まで、高校時代を過ごした大船渡市と妻の実家のある陸前高田市に行きました。鹿島のスタッフには「余震も続いているし、援助や救助の邪魔になるからやめておけ」と止められたけど、行動を起こさなければ絶対に後悔すると思ったから。実際に現地に足を運ぶと、何もかも無くなっていて初めて行った場所のようで言葉が出ませんでした。何か力になりたくて避難所を訪問しましたが、1人では何もできず、逆に復興にかかわる全ての人が一生懸命に頑張っている姿に励まされました。何か必要な物はあるかと聞いても「自分は大丈夫だから、もっと困っている人に必要な物を送ってあげて」という人がたくさんいて本当に頭の下がる思いでした。

 被災地ではみんなが一体になって必死に頑張っているし、自分もその中で何か力になりたいと思っています。今、考えているのはサッカーで集めたお金をサッカーの復興のために使えないかということ。もちろん生活に必要不可欠なことが最優先されるのは分かっていますが、震災により、スパイクやボール、グラウンドを失った少年がたくさんいて、このままではサッカーをやめなくてはいけない人も出てきてしまう。そうならないように、もう一度サッカーを頑張ってもらえるように支援できればと思います。サッカーと並行してできる限りの協力をしていきますので、希望を失わずに日本のみんなで力を合わせて頑張っていきましょう。

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