中国検閲で「チンギスハンとモンゴル帝国」展が見送りに フランスの博物館「歴史と文化消す狙い」と批判

 【パリ=三井美奈】フランス西部のナント歴史博物館は13日までに、モンゴルの英雄チンギスハンをめぐって来春開幕予定だった展示会について、中国による検閲を理由に見送ると発表した。同館は声明で「中国側が少数民族のモンゴル族への態度を硬化させたためだ」と批判した。

 同展は中国の内モンゴル自治区フフホトの博物館と提携し、チンギスハンとモンゴル帝国の歴史を紹介する計画だった。展示は当初、今月開催の予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で来春に延期されていた。

 声明によると、中国側の態度が変わったのは今夏。展示から「チンギスハン、モンゴル、帝国」という文言を削除するよう要求した。ナント歴史博物館は展示名を「天空と草原の子 チンギスハンとモンゴル帝国の誕生」とし、テーマを副題に盛り込むことで折り合いを付けようとした。中国側はさらに、展示法の根本的な変更を要求。同館は「国の描いた物語に沿って、モンゴルの歴史や文化を完全に消すための偏向した書き換え」だと判断し、計画中止を決めたという。「人類や科学、倫理的価値を守る」ためだと訴えた。

 同館は欧州や米国にある資料を集め、2024年に当初の構想に沿ってチンギスハン展を開催する計画だとしている。

 内モンゴル自治区では9月の新学期に中国語(漢語)教育が強化され、授業ボイコットなどモンゴル族による抗議運動が広がっていた。

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