【ワシントン=黒瀬悦成】米国防総省は7日、米軍が駐留するイラク西部のアサド空軍基地と北部のエルビル基地がイラン領内から発射された数十発のミサイルによって攻撃されたと発表した。米メディアによると、米軍将兵に被害はなかったとみられる。イラン革命防衛隊は国営テレビを通じ、防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官が米軍に殺害されたことを受け、報復攻撃を実行したと表明した。
イランが司令官殺害に対する報復攻撃を行うのは初めて。トランプ大統領はイランが報復攻撃に出た場合は「重大な結果を招くだろう」と警告しており、両国間の報復合戦がエスカレートする恐れがある。
国防総省などによると、ミサイルはソレイマニ司令官の葬儀が終了した直後とされる、イラク時間8日午前1時半ごろに始まった。FOXニュースによると、使われたのは短距離弾道ミサイルまたは巡航ミサイルとみられている。
イランは過去にイラクの米軍基地に対しロケット弾や迫撃砲攻撃を仕掛けてきたことがあるが、イラン領内からのミサイル攻撃は異例とされる。
ホワイトハウスのグリシャム報道官は声明で攻撃に関し「報道を承知している。大統領は説明を受け、国家安全保障チームを協議しつつ情勢を注視している」とした。