飲酒の日航副操縦士に禁錮１０カ月　英国刑事法院で実刑判決

　【ロンドン＝岡部伸】ロンドン西部の刑事法院は２９日、乗務前に呼気から基準値を大幅に超えるアルコールが検出されたなどとして、英国の運輸関係法令違反の罪に問われた日航副操縦士、実川（じつかわ）克敏（かつとし）被告（４２）に禁錮１０カ月の実刑判決を言い渡した。判決理由で「飲酒で乗客乗員の命を危険にさらす恐れがあった」と指摘した。

　判決によると、実川被告は英国時間１０月２８日、ロンドン発羽田行き日航４４便に乗務予定で出発前の検査を不正にすり抜けたが、移動バスの運転手がアルコール臭に気付き保安担当者に連絡。呼気から法令が定める基準の約１０倍に当たるアルコール量が検出され、英警察に逮捕された。

　英警察による呼気検査で実川被告は呼気１リットル当たり０・９３ミリグラム、血中アルコール濃度の検査で基準の約９倍の血液１リットル当たり１８９０ミリグラムが検出された。

　英国の法令では、航空機の操縦などに関与する場合、アルコール量の上限を呼気１リットル当たり０・０９ミリグラム以下、血液１リットル当たり２００ミリグラム以下などと規定している。

　実川被告は今月１日、治安裁判所に出廷、罪を認めていた。実川被告は出廷せず、留置先と法廷を映像や音声でつなぐビデオリンク方式が採用された。

　今年６月、英ブリティッシュ・エアウェイズ（ＢＡ）の操縦士が同様に基準値を超えるアルコールが検出されたとして逮捕され、禁錮８月の有罪判決を受けた。