【パリ=三井美奈】フランスのマクロン大統領が財政再建のさなか、エリゼ宮(大統領府)に公費で50万ユーロ(約6400万円)相当の食器セットを購入したと報じられ、批判を浴びている。
食器は仏伝統のセーブル焼きでブリジット夫人がデザインを選び、18世紀発祥の国立製陶所に1200個発注された。セーブル焼きはルイ15世やナポレオンが愛用し、「王者の食器」と呼ばれる。50万ユーロとの推計額は13日付の週刊紙カナール・アンシェネが報じた。
この日、マクロン氏が社会保障改革に向けて「貧乏人はいつまでたっても貧乏だ。貧困脱却のため、みんなに責任を持たせるべき」だと訴える動画が公開され、ネット上で「高級皿を税金で買いながら、まだ国民に不満なのか」「王様気取り」の声が相次いだ。
製陶所の所長は、エリゼ宮への請求はデザイナーへの支払い5万ユーロ(約640万円)で、製造経費は同所予算で賄うと述べたが、その予算は6割を文化省が負担しており、結局は公費。「予算の透明性を欠く」との批判も出た。
食器は国賓への贈答やエリゼ宮の宴席用に納入され、すべて手作り。大量発注は2000年のシラク大統領以来という。