【カイロ=大内清】サウジアラビアが2日、イスラム教シーア派の高位聖職者ニムル師らを処刑したことを受け、シーア派大国イランの首都テヘランでは同日夜から3日未明にかけて処刑に抗議する群衆がサウジ大使館を取り囲み、暴徒化した一部が館内に乱入したり火炎瓶を投げつけたりした。イランの最高指導者ハメネイ師も3日、処刑を非難。域内での影響力を争う両国の関係がいっそう険悪化し、スンニ派とシーア派の対立が強まる懸念が高まっている。
一方、AP通信などによると、サウジの隣国バーレーンやイラクでも2日、処刑への抗議デモが起き、宗派対立が中東各地に拡大した。
イランのメディアによると、ハメネイ師は聖職者らの会合で、「サウジは(処刑に対する)神聖な報復を受けるだろう」と述べた。
これに先立つ2日、イラン外務省報道官も非難声明を発表した。これに対し、サウジ外務省は、「サウジ内政への干渉だ」としてイラン大使を呼び、抗議状を手渡した。サウジは、47人の処刑は国内でのテロ対策上のものだとしている。