【ジャカルタ=吉村英輝】ミャンマー国会で来年初頭にも行われる大統領選で、最大野党、国民民主連盟(NLD)党首のアウン・サン・スー・チー氏が新大統領に選出されるのが極めて困難な情勢となった。与党の連邦団結発展党(USDP)が国会に提出した憲法改正案が、「外国籍の親や配偶者、子供、子供の配偶者がいる人物は正副大統領になれない」とする現憲法の規定を事実上維持し、このまま国会で認められる公算が大きくなっているためだ。複数の現地メディアが11日報じた。
英国人の夫(死去)との間に英国籍の2人の子供がいるスー・チー氏は、自身の大統領就任を阻む憲法の大統領資格規定や、「全議員の75%超の賛成」が必要と定めた改憲要件に関する条項の改正を訴えてきた。
だが、USDPが10日に提出した改憲案は大統領資格規定について「子供の配偶者」が外国籍であることを容認するにとどまった。
今秋の総選挙で躍進が予想されるNLDは、続く大統領選でスー・チー氏を同党候補に擁立しようと改憲運動を展開してきた。だが、議会はUSDPと同党に近い軍人議員が議席の4分の3を占める。改憲案が可決されればスー・チー氏の大統領就任は不可能となるだけに、NLDが反発し、一連の選挙をボイコットする事態も予想される。