大阪地裁堺支部の民事訴訟の法廷で、裁判官が北朝鮮による拉致被害者の救出を願う「ブルーリボンバッジ」の着用を禁じたのは憲法違反だとして、大阪府内の男性3人が17日、計390万円の国家賠償を求め、大阪地裁に提訴した。「裁判官の判断は国の機関の人間として常識外れだ」と訴えている。
バッジ着用は在日韓国人の女性が平成27年、職場で「民族差別表現」を含む資料を配られたとして、勤務先の「フジ住宅」(同府岸和田市)に損害賠償を求めた訴訟の中で禁止された。
訴状によると、30年5月の審理で、裁判官の命令を受けたとする職員が「メッセージ性のあるバッジは外すように」と指示。裁判官の「法廷警察権」という権限に基づいた措置で、今年7月の判決まで着用が認められなかった。
裁判では当初、別のバッジをめぐるトラブルも起きていた。まず、女性側の支援者が「ヘイトハラスメントストップ」と記した缶バッジを、のちに原告の男性らが富士山と太陽を描いたバッジをつけ入廷。女性側の抗議を受け、双方のバッジ着用が禁じられた。
原告は同社の今井光郎会長(74)や支援者の南木隆治さん(67)ら。
提訴後、今井会長らは大阪市内で記者会見。代理人の高池勝彦弁護士は「法廷警察権の誤った適用で、裁判官が着用を禁じるのは違憲だ」と語った。