日本女子プロ野球機構は1日、リーグに所属する選手71人中36人が今季限りで退団すると発表した。合わせて指導者6人も退任。退団選手のうち、厚ケ瀬(あつがせ)美姫は引退し指導者として残るが、計41人がチームを去ることになった。
退団選手の中には、女子野球ワールドカップ(W杯)で史上初の3大会連続MVPを獲得した右腕の里(さと)綾実や、創設当初から投打でリーグに貢献してきた小西美加、「美しすぎる女子野球選手」として話題となった加藤優など、「女子プロ野球」の顔的存在だった選手も名を連ねた。
関係者によると、今季限りで戦力外となった選手が半数以上を占め、さらに、雇用形態が変わったことも大量の退団者が出た理由とみられる。リーグに残る選手は若手が中心。来季のリーグ存続に向け、同機構は世代交代を図った形だ。
同機構は健康食品会社「わかさ生活」が3億円を出資して設立。2010年に2球団で始まり、現在は育成球団も含めた4球団で活動している。ただ、いずれも同社が球団を運営。選手たちは同社と従業員契約を結んでいた。しかし、同機構は8月に緊急会見を実施。経営難を訴えるとともに、来季以降も継続していくため、球団を運営する新規参入の企業や団体の募集を始めていた。
関係者によると、選手に新しく提示された契約内容は、シーズン中は野球に専念するために固定給+出来高払いとし、オフの期間は同社社員として働くか、別に選手自身が働き先を見つけるか-の選択だったとみられる。約1カ月間、話し合いが続けられていたという。
来季以降のリーグの体制は決定していないが、9月には入団テストも実施しており、8人が内定済み。若手中心の2球団で継続する可能性が高い。別の関係者は「選手たちには究極の選択をしてもらい、一人一人の意志を尊重した結果。新しい形の中で、それでもやろうという若い選手が残った。今後も女子プロ野球を継続していくための措置だ」と説明している。