90年以上にわたって香川県などで活躍してきた高松琴平電気鉄道(高松市)のレトロ電車の車両4両が、2年後までに順次引退することになった。鉄道ファンからは惜しむ声が上がったが、1両は作業用として保存するものの、3両は譲渡先が見つからなければ解体されるという。特別運行やイベントで人気を集めた車両が引退に追い込まれたのは、売りである古さゆえの事情があるという。
■ファンにいち早く
引退が明らかになったのは、レトロ電車の特別運行があった今月5日。この日の最終便となった琴電琴平-仏生山(ぶっしょうざん)間を走行中の車内で、担当者が「2021年までにレトロ電車4両を引退させることが決定しました」と告げると、鉄道ファンからどよめきが起こった。電車の窓を開けていたためよく聞き取れなかった人もいたといい、「駅に到着した後、あらためてホームで説明」(担当者)する事態にもなった。
引退が決まったのは、同社オリジナル車両で、経済産業省の近代化産業遺産に認定された5000形500号(昭和3年製造)▽1000形120号(大正15年製造)▽3000形300号(同)-と、近畿日本鉄道から譲り受けた20形23号(大正14年製造)の4両。
いずれもすでに通常運行からは外れているが、月1度の特別運行やイベントで注目を集めてきた。
高松琴平電気鉄道はこの4日後、ホームページで引退を公表。「最初に鉄道ファンに知らせたい」と、大型連休中に開催したイベントで先に引退計画を明らかにしたのだった。