経営再建中のシャープは21日、不振が続く液晶パネルの国内生産拠点を集約すると明らかにした。今年8月末に天理工場(奈良県天理市)での生産を停止し別工場に移す。また10月をめどに、三重第3工場(三重県多気町)に2つある生産ラインを1つに集約する。生産効率を上げ、競争力を高めるのが狙い。
シャープの液晶事業は、平成28年3月期で300億円の赤字となる見通しで、業績悪化の主因となっている。立て直しのため現在、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業など外部からの出資受け入れについて協議を進めており、合意後迅速に再建できるよう体制を整える。
天理工場は3年に世界初の液晶工場として稼働を開始した。最近はスマートフォン用パネルなどを生産していたが、競争が激しく価格が下落。採算が悪化している。約130人強の人員は主力の亀山第2工場(三重県亀山市)などに移す。液晶よりも薄く画像も鮮明にできる有機ELなどの研究開発部門は残す。
三重第3工場では高精細のスマホ用パネルを生産していたが、中国での販売が低迷するなどして稼働率が大きく落ち込んでいる。自動車の計器類用液晶を生産していた第1工場は昨年閉鎖している。