衝撃事件の核心

大阪桐蔭巨額裏金問題の深い「闇」 外部女性スピード出世の情実人事 疑惑はカネだけではない  

5億円超に上る裏金問題が発覚した大阪桐蔭中学・高校=大阪府大東市
5億円超に上る裏金問題が発覚した大阪桐蔭中学・高校=大阪府大東市

 5億円超に上る裏金問題に揺れる大阪桐蔭中学・高校(大阪府大東市)。文武両道の有名校が長年抱えていた「闇」は、何もザルのような会計処理だけではなかった。大阪桐蔭を運営する学校法人大阪産業大の教職員組合は4月、裏金を私的に流用したとして、業務上横領罪で前校長(74)ら2人を大阪地検特捜部に刑事告発した。さらに、前校長が外部から招いた女性を不可解な形で〝スピード出世〟させた疑惑まで浮上したのだ。法人は近く問題の調査結果をまとめる方針だが、権力を一手に握った前校長の所業に保護者らの不信感は強く、一枚岩で再生に向かう見通しは立っていない。

「誰も反対意見言えぬ」

 前校長は大阪桐蔭が大阪産業大付属高の分校から独立した昭和63年、初代トップに就任。対外的な名声を得ることに腐心した。

 硬式野球部は平成3年の夏の甲子園で初優勝。全国制覇はこれまで春夏通算5回を数え、全国有数の強豪校にまで成長した。学業面では「京大に年間50人合格させる」と標榜(ひょうぼう)。文武両道を掲げ、7年に中高一貫教育を導入したことで東大や京大など難関大学の合格者数は飛躍的に向上した。受験者数が増えたことで約3千人の生徒が通う大規模校へと成長するに至った。

 こうした前校長の〝剛腕〟運営は、権力の集中を招いた。

 中高一貫教育の導入とともに法人の理事になり、9年に常務理事、20年6月には副理事長に昇格した。法人に長年勤めた元職員は前校長について「ワンマンで民主的に学校を経営するとか全く考えない。実績を上げているから、周囲は誰も反対意見を言うことができなかった」と振り返る。

 19年には吹奏楽部員200人以上が練習可能な「シンフォニックホール」、25年には約3千人を収容できる体育館「桐蔭アリーナ」が完成した。これら豪華施設の建設にも前校長の力が影響したとされる。

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