天皇陛下が「生前退位」の意向を宮内庁関係者に伝えられていたことが分かった13日夜、県内でも驚きや陛下の体調を気遣う声が広がった。
今年1月の「歌会始の儀」で入選し、天皇陛下の前で長女(3)の成長を詠んだ歌が朗詠された、さいたま市浦和区の主婦、中込有美さん(43)は「驚きました。でも、一般社会では引退していてもおかしくないご年齢なので、退位されるのも理解できる気がします」とおもんばかった。
中込さんは歌会始の儀終了後、別室で陛下から「お子さまは何歳ですか? 元気でね」と声をかけられたという。「お年は召されていましたが、お元気な様子でした」と振り返り、「各地を訪問されていて、大変な公務を果たされている。体調を崩すことのないようにしていただければ」と気遣った。
JR浦和駅前でニュースを知った同市の主婦(65)は「陛下がそう思われるなら…。ご病気もされていたし、いろいろな公務をやっていかれる中で(生前退位を)考えられたんだと思う」と冷静に受け止めた。同市南区の会社員男性(38)は「普通の会社ならばりばり働ける人間が働くのが当然。動けなくなってから引き継ぐのは考えられない」と述べ、「元号が変われば契約書などの書き換えなどで影響が出てくるかも」と話した。
同市浦和区の会社経営者(40)は「陛下も人間。お元気なうちに退かれるという選択をする権利も当然あるだろう」と話した。
県によると、天皇陛下はご即位後、県に約20回足を運ばれている。最近では平成26年11月20日、皇后陛下とともに深谷市で大雪による被害の復興状況を視察、JA関係者に「よい農業をしてください」と激励された。また、当時、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録の見通しとなった手漉き和紙「細川紙」の展示を小川町の埼玉伝統工芸会館で見学された。