ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の新型家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)5」のソフトの販売数が、年末年始商戦や新型コロナウイルス禍による巣ごもり需要にもかかわらず伸び悩んでいる。品薄のゲーム機本体が転売の標的にされ、消費者に届いていない実態が浮き彫りになった形だ。7年ぶりの新型機を待ちわびる消費者には、お祭り騒ぎどころか、白けムードが漂い始めている。
ゲーム情報誌「ファミ通」の調査によると、PS5の昨年12月末までの累計販売台数は25万5150台。一方、ソフトは、1月10日時点で、PS5と同時に発売された「スパイダーマン」の新作が3万4219本(ディスク版のみ)にとどまる。販売本数が1万本を超えたのは上位3位まで。ダウンロード版が集計されていないとはいえ、本体の販売数に比べ、あまりに少なく、統計上は本体を購入したが、ソフトを買わない人が多かった計算になる。
新型機の発売では、消費者は1本以上のソフトを買うため、ソフトの販売数は本体の販売数を超えるのが通常だ。ソフトの販売が低迷する原因は転売だ。PS5は、メルカリなどのフリーマーケットアプリで発売直後に10倍の値をつけ、現在も希望小売価格よりも数万円高い値段で取引されている。
PS5は海外の生産ラインの拡大が進まず、半導体などの部品確保も難しいため、世界的に供給不足になっている。SIEは市場規模の大きい欧米への出荷を優先させており、日本の品薄に拍車がかかっている。
日本で平成26年2月に発売された旧機種のPS4は初週だけで販売台数が30万台を超えており、PS5の日本市場への供給が絞られていることは一目瞭然だ。日本のゲーム業界関係者からは「思った以上に本体が少ない。これではソフトが売れない」と落胆の声が上がる。