東京都と千葉県の湾岸部を結ぶ構想の「第二東京湾岸道路(第二湾岸)」の建設に向けた計画が再始動している。国土交通省の検討会で、いよいよルートの検討に入ろうという段階。京葉道路や東京湾アクアラインなどの慢性的な渋滞解消のため、県が長年、国に具体化を求めてきたが、想定されるルート上にある東京湾最奥部の干潟「三番瀬(さんばんぜ)」の環境保全との両立が大きな課題だ。三番瀬をめぐって、過去に第二湾岸計画が宙に浮いた経緯もあり、議論の行方が注目される。
計画中断から18年
第二湾岸は、渋滞解消と東京と千葉の間の輸送力強化のため、平成6年に国が地域高規格道路の候補路線として指定。建設に向けた具体的な進展がないまま、三番瀬の埋め立て計画の白紙撤回を公約とした堂本暁子氏が13年に知事に当選し、計画は事実上の中断に追い込まれた。
その間、京葉道路や湾岸部の国道の慢性的な渋滞解消も進まなかった。森田健作知事が当選後の21年8月、アクアラインの普通車料金を片道3千円(ETC搭載車は2320円)から800円に引き下げる社会実験が始まり、アクアラインの通行量は急増。30年6月の東京外かく環状道路(外環道)の千葉県区間開通もあり、湾岸部の道路の渋滞増につながり、改めて渋滞解消が喫緊の課題となっている。
昨年1月、森田知事から重点要望事項として陳情を受けた当時の石井啓一国交相が「第二湾岸を中心とした湾岸地区道路の検討会を設置して検討を加速したい」と述べ、18年ぶりに再始動した。
検討ルートの基点示す
今年5月に行われた国交省の検討会で、県の三番瀬再生計画を踏まえつつ、外環道と東関東自動車道の結節点である市川市の高谷ジャンクション(JCT)周辺から、千葉市の蘇我インターチェンジ(IC)周辺、市原市の市原ICの各周辺を基点として、湾岸部を結ぶルートで検討する基本方針が策定された。
県の担当者は基本方針について「湾岸部の渋滞解消は早期に取り組むべき課題」と位置づけられたことを評価する。
国は今後、周辺住民らの意見を聞くなどして、具体的なルート案や整備後の効果を比較する「計画段階評価」の手続きに移行する。その中で、複数のルート案や工法などについて示す予定だ。