5月のゴールデンウイークの最中、2日間にわたり東京都内7カ所で行われた公明党の都議選候補者の街頭演説に小池百合子都知事の姿があった。「改革に真っ先に賛同してくれた」と持ち上げる小池氏。一方の候補者たちも「東京大改革を支えていく」と強調、小池氏と公明の相思相愛ぶりをうかがわせた。
公明は長年、連立与党を組んできた自民と決別し、小池氏が事実上率いる「都民ファーストの会」と協力して都議選を乗り切る戦略にかじを切った。背景には小池氏と対立する自民との関係を続けることで有権者離れが進むことを避けたい公明と、支持母体の創価学会の組織票を取り込みたい小池氏側の利害が一致したことにある。
ただ、方向性が完全に一致しているわけではない。豊洲市場(江東区)早期移転を主張する公明に、「総合的に判断する」と慎重姿勢を崩さない小池氏。連休中の街頭演説でも、公明候補、小池氏はいずれも豊洲問題への具体的な言及を避けた。「豊洲のねじれが目立てば選挙ではマイナス。都議選前に移転を決断してほしいのだが」。ある公明都議は漏らす。公認候補23人全員当選を目指す悩みは深い。