自民党の有志議員らが、地域格差が生じている最低賃金額を全国一律にすることを目指す議員連盟を近く立ち上げることが14日、関係者への取材で分かった。先の臨時国会で成立した改正出入国管理法をめぐる議論では、地方と大都市圏で最低賃金額の差が大きければ外国人労働者が都市部に集中するとの懸念が出た。議連は地方の賃金水準を東京の水準に合わせるよう議論を進める方針だ。
厚生労働省の資料によると、平成30年度の最低賃金の全国平均は時給で前年度比26円増の874円。地域別では、最高が東京都の985円(前年度比27円増)なのに対し、最低は鹿児島県の761円(同24円増)で224円もの差がある。最低賃金の地域間格差は拡大傾向にあり、東京一極集中を助長していると指摘されている。
また、外国人労働者の受け入れ拡大に向け在留資格を創設する改正入管法をめぐる国会議論で問題視された外国人技能実習生の失踪に関しては、「失踪の多くは地方の実習生であり、賃金の高い都市部での仕事を探すためだ」といった指摘があった。最低賃金を一律にすればこうした課題の解消が期待できるという。
しかし、全国の最低賃金を東京の水準に引き上げると、地方の中小企業や全国展開するチェーン店にとって大幅な負担増につながる可能性があり、地方経済への影響が懸念される。
議連の立ち上げに関わるベテラン議員は「反発は予想されるが、議連が大都市圏と地方との格差解消に向けた議論を始めるきっかけになれば」と話している。
最低賃金全ての働く人に適用される賃金の下限額。昭和34年に当時の岸信介政権が導入した。毎年度、中央最低賃金審議会が引き上げの目安額をまとめ、その後各都道府県の地方審議会が地域の実情に応じて改定額を示す。最低賃金を下回る金額しか支払わなかった企業には罰則がある。安倍晋三首相は平成27年、将来的に全国平均1千円程度に引き上げることを表明している。