築地市場(東京都中央区)から豊洲市場(江東区)への移転問題で、築地市場最大の業界団体「東京魚市場卸協同組合(東卸)」の新理事長に就任した早山豊氏(66)が1日、記者会見し、豊洲市場の地下水から環境基準を上回る有害物質が検出されたことを挙げ、「現段階で豊洲市場への移転は考えられない」と述べた。
築地市場には水産卸や青果などの各業界団体があるが、550の水産仲卸でつくる東卸は組合員数で最大。前執行部は移転を容認していたが、今年1月の理事長選で早山氏が前理事長を破って、選出された。
早山氏は会見で「生産者や消費者の安心が確保されていることがすべての原点になる」と指摘した上で、「現状では豊洲市場への移転はできないというのが(東卸の)総意だ」と強調。将来的な移転への賛否については「(今月に判明する見通しの)地下水の再調査結果を受け、小池百合子知事がどう判断するのか注視したい」と表明した。
築地市場の敷地で土壌汚染の可能性があるとの報告を都がまとめたことに対しては「非常に困惑している」と述べた。仮設建築物35棟について都が使用許可を更新せず、違法状態で放置していた問題では都の対応を確認するとした。
一方、都は1日の都議会一般質問で、移転延期に伴う業者支援策として実施している「つなぎ融資」について、昨年12月の開始から2月までに計200件の融資を実施し、今後、43件を実施予定であることを明らかにした。