国・地方税収が初の100兆円突破へ 29年度見込み、第2次安倍政権で22兆円増 

 平成29年度の国と地方の税収の総額(概算)が初めて100兆円を突破する見通しであることが6日、分かった。24年12月に第2次安倍晋三政権が発足して約5年で22兆円増を見込む。税収の伸びは約30年前のバブル経済時と同程度で、デフレ脱却を目指すアベノミクスによる景気回復の効果が鮮明になった。

 政府は29年度の税収について、当初予算ベースで国税が前年度比1・8兆円増の57・7兆円、地方税が同0・9兆円増の43兆円で、計100・7兆円を見込んでいる。20日に就任するトランプ次期米大統領の景気対策を追い風に企業収益が好転する見通しであることに加え、中小企業の賃上げや外国人観光客の増加により地方経済も堅調に推移する見込みだ。

 大半の時期が旧民主党政権だった24年度(当初)の税収は、国(42・3兆円)と地方(36・4兆円)で計78・7兆円だった。自民党が政権奪還してからの22兆円に上る大幅な税収増は、26年4月の消費税率8%への引き上げや一部税収の一般会計への繰り入れといった経済成長以外の要因もあるが、円安をテコにした企業収益の改善や消費回復が大きく貢献した。

 28年度は英国の欧州連合(EU)離脱決定や新興国経済の減速に伴う円高の影響で法人税収が落ち込み、第2次安倍政権発足後としては初めて税収が前年度を下回ることが想定される。一方で、消費増税による増収分があり、税収減は限定的となる見込みだ。

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