マダニ感染症、野良猫にかまれ保護しようとした50代女性が死亡 世界初、厚労省が注意喚起

 厚生労働省は24日、草むらなど野外に生息するマダニが媒介する感染症に感染した猫にかまれた女性が死亡していたことを明らかにした。厚労省は同日、都道府県や医師会などに注意を喚起する通達を出した。ダニ媒介の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」で、哺乳類を介して人が死亡したことが判明したのは世界で初めてという。

 国立感染症研究所によると、平成28年5月〜7月、弱った野良猫を保護しようとした西日本在住の50代女性が猫にかまれた。女性に重大な持病などはなく、約10日後に死亡した。半年後に感染研が女性の検体を受けて精査したところ、猫を介してSFTSを発症した可能性が高いことが分かった。

 SFTSは国内で初めて感染が判明した23年から今年6月末までに266人の発症例があり、そのうち57人が死亡。致死率は21%に上る。

【用語解説】重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

 SFTSウイルスによる感染症で、主にマダニにかまれてうつる。6日から2週間ほどの潜伏期間を経て、発熱や全身のだるさ、吐き気などの症状が出る。重症化して死亡することもある。死亡例は全て50代以上で、高齢者が重症化しやすいと考えられている。ワクチンや特効薬はなく、水分補給や解熱剤投与などの対症療法が治療の中心となる。

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