2011(平成23)年度から小学校の高学年に「外国語活動」(英語教育)を導入した現行学習指導要領は、実施から6年がたちました。これについて国立教育政策研究所は、6年間の「外国語活動」の成果や課題を調べた調査の結果をまとめました。
英語によるコミュニケーション能力の向上など大きな変化が見られる一方、小6の約3割が「英語嫌い」になっている他、中学校の英語教育との接続にも問題があることがわかりました。
英語教育の小中の接続に課題も
調査は昨年10〜11月、先進的な英語教育に取り組んでいる教育課程特例校等の小学校のうち計100校、1万5,629人の児童生徒を対象に実施し、そのうち1万5,256人(97.6%)から回答を得ました。
それによると、小学生の91.5%が「英語を使えるようになりたい」と答え、実際に55.7%の子ともが外国人に話しかけられたら「英語で受け答えをする」と回答しています。これについて同研究所は「英語を使ったコミュニケーションへの意欲が育っている」と評価しています。
しかし、英語に関する授業の好き・嫌いを尋ねたところ、小5の15.6%が「どちらかといえばきらい」、4.0%が「きらい」と回答。さらに小6では「どちらかといえばきらい」が20.5%、「きらい」が6.3%と増えています。合計すると、小6の約3割が英語の授業に苦手意識を持っていることになります。逆に言えば、残り約7割の児童は英語の授業が好きだとも言えますが、中学校で英語を教科として学ぶ前に、既に3割近くの子どもが「英語の授業が嫌い」になっているというのは大きな問題だと言えるでしょう。
2020(平成32)年度から全面実施される次期学習指導要領では、小学校高学年で英語が教科となる予定ですが、場合によってはさらに「英語嫌い」が増えることも懸念されそうです。