国際宇宙ステーション(ISS)に7月から滞在している宇宙飛行士の大西卓哉さん(40)と、昨年飛行した油井亀美也さん(46)が衛星通信で手紙を交わし、宇宙と地上で思いを伝え合った往復書簡を産経新聞に寄せた。
2人は平成21年に宇宙飛行士候補に選ばれた同期生。手紙で大西さんは「ISSでの仕事・生活は最初は慣れないことばかりで大変」と実感を込めた。
油井さんは「忙しいときこそ焦らず、落ち着いて仕事をしてください。宇宙への適応はまだ途上です」と助言。これに対し大西さんは、大事には至らなかったが作業手順を間違えるミスをしたことを明かした上で「しっかりと任務を果たし、油井さんに負けないように私も成果を持って帰りたい」と決意を伝えた。
出発時の心境や家族のエピソードなど、気心が知れた2人ならではのやり取りも。大西さんは、もう1人の同期生で来年秋に飛行する金井宣茂さん(39)とも手紙を交わし、10月下旬ごろに帰還する予定。
大西さんと油井さんの書簡全文は次の通り。
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■油井亀美也さんから
「人類代表の仕事、頑張って」
大西さん! 念願の宇宙へ飛び立ってから、早くも半月が過ぎましたね。私も大西さんが宇宙へ飛び出す姿をバイコヌール宇宙基地で見ました。天気に恵まれたこともあり、本当に美しい打ち上げで感動しました。
1年前に私がロケットで打ち上げられたときは、気持ちも落ち着いていて平常心でしたが、大西さんの打ち上げを見るときの方が興奮するとともに、心配にもなりました。大西さんも、十分訓練したことが自信となり、きっと打ち上げ時は心も落ち着いていたことでしょう。