東京電力労働組合が今春闘で、臨時雇用者約200人の労組への加入を会社側に認めるよう求める方針を固めたことが20日分かった。24日に正式に要求する。非正規雇用も含め労働条件を改善することで、人材の確保につなげる狙いだ。収入の減少などを背景に東電は退職者が相次いでおり、労組は時短制度の充実なども併せて会社側に求め、人材流出に歯止めをかけたい考えだ。トヨタ自動車労組などで臨時雇用である期間従業員の加入が認められた例はあるが、電力業界では異例となる。
加入を求めるのは、福島第1原発事故の補償の相談業務などに携わる臨時雇用者が中心。併せて勤続年数に応じた昇給なども要求し待遇の改善につなげる。
今春闘では人材の確保を目的に、仕事と育児の両立を図る制度の充実も求める。具体的には、これまで育児のための短時間勤務は子供が小学校1年生までが対象だったが、小学校3年生まで拡大することを求める。また、労働者が始業・終業時刻を決める「フレックスタイム制」も子供が小学校1年生までが対象だったが、無制限にするよう要求する。
東電労組が人材確保を目的とした要求を相次ぎ打ち出すのは、原発事故後に一般社員の年収が20%下がるなどで、人材離れが進んだ危機感からだ。実際、昨年12月末時点の人員は約3万3700人と、平成7年度末比で約23%減っている。