「一票の格差」が最大3・08倍だった7月の参院選をめぐり、全国の高裁に出されていた16件の訴訟の判決は、「合憲」6件と「違憲状態」10件に分かれた。
さきの選挙は初めて「合区」を導入するなど、一定の格差是正が図られた上で行われた。
最高裁は来年にも統一判断を示すという。評価が分かれたことをもって、弥縫(びほう)策の繰り返しが容認されたとはいえない。早期に具体的な是正策をまとめる努力を怠ってはならない。
最高裁は平成22、25年の参院選について、いずれも「違憲状態」と判断した。さらに、格差の原因となっているとして都道府県単位の区割りを見直すよう求めた。
「徳島・高知」「鳥取・島根」の合区を作ったのは、これを受けたものだ。都道府県を軸とした選挙区の構造を維持しつつ、格差批判に応えるため、あえていびつな選挙制度の姿を取り入れた。
だが、人口減少や都市部への集中が進む中、さらに合区が生まれることも予想される。地域性などとかけ離れた合区が登場すれば、人口比率以外に選挙制度の趣旨を示す論拠はますます乏しくなるのではないか。