2025年の日本と世界を占う 弱い政治家が保身のために国を壊す 平井文夫

ニュース裏表

バイデン大統領(ロイター=共同)
バイデン大統領(ロイター=共同)

新年早々、政治は「困った」ニュースばかりだ。

米国ではジョー・バイデン大統領が、日本製鉄によるUSスチール買収に禁止命令を出した。「米国の鉄鋼供給網と国家安全保障が損なわれる」と、もっともらしい理由をつけているが、何のことはない労働者層の票が欲しいだけだ。

困るのは日本製鉄よりも、むしろ再建が難しくなったUSスチールであり、米国民なのだが、政治家が「弱い」とこういうことが起きる。ドナルド・トランプ次期大統領も高関税や軍事費増強など「対外強硬姿勢」を示しており、これも「弱さ」の表れだ。

韓国の尹錫悦大統領
韓国の尹錫悦大統領

韓国ではさらに深刻で、弾劾訴追案が可決された尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対して拘束令状が出され、捜査員が大統領公邸に入ったが、大統領警護庁が拘束を阻止した。共に「弱い」与野党の党利党略で国が壊れようとしている。

米韓に比べ、日本はまだマシなのかもしれない。

ただ、石破茂首相が元旦のラジオ番組で立憲民主党との大連立について「選択肢はあるだろう」と述べたのは気になった。政策に共通点の多い国民民主党や日本維新の会ならともかく、なぜ安全保障やエネルギー政策が違う立憲民主党なのか。

石破首相
石破首相

立憲民主党の野田佳彦代表が「平時ではそういうことは考えていない」と否定し、石破首相自身もその後トーンダウンしたが、今の自民党執行部は大連立をやりかねないので心配だ。

とはいえ、石破政権は危機的な状況ではないようだ。JNN(TBS系列)の世論調査(1月4~5日実施)によると、内閣支持率は前月比ほぼ横ばいの41・4%と悪くない。

昨年の臨時国会では、国民民主党の「103万円の壁」、日本維新の会の「教育無償化」、さらには立憲民主党の「能登への予備費1000億円拠出」まで、野党の言うことを丸飲みして補正予算を通した。

「熟議の国会」だと野党やメディアは喜んでいるが、ただの「ベタ降り」ではないか。だが、その「ベタ降り」が内閣支持率を「低位安定」させている。

今年7月の参院選は与党過半数が勝敗ラインになるのだが、野田氏は年頭会見で曖昧な言い方をした。

「少なくとも改選議席の与党の過半数割れは実現し、そしてもっと大きな目標としてはさらなる与党の過半数割れに勢いをつけていくように頑張っていきたい」と述べたのだ。これはおそらく非改選を含めた過半数割れは現時点ではハードルが高いということなのだろう。

もし参院選で与党が過半数確保できるなら、自民党内は「このまま石破首相で行くか」ということになる。「石破おろし」はないし、決定力のない立憲民主党も内閣不信任案は出せないはずだ。そして、その後も「熟議の国会」ならぬ「ベタ降り国会」で、「給食費無償化」などの野党のバラまき案の丸飲みが続くのではないか。

日本の内でも外でも「弱い」政治家が保身のために国を壊さないか、2025年はしっかり監視する必要がある。 (フジテレビ客員解説委員)

平井文夫「ニュース裏表」(zakzak)

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