韓国大統領の拘束令状発付、公邸の捜索令状も 1月6日まで有効、内乱の首謀者と位置づけ

韓国の尹錫悦大統領(大統領府提供・共同)
韓国の尹錫悦大統領(大統領府提供・共同)

【ソウル=桜井紀雄】韓国のソウル西部地裁は31日、捜査機関「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」などによる合同捜査本部が内乱や職権乱用の容疑で請求した尹錫悦大統領の拘束令状と、公邸の捜索令状を発付した。公捜処が明らかにした。現職大統領に対する拘束令状の発付は初めて。令状は尹氏を内乱の首謀者と位置付けた。

尹氏が12月3日夜に宣布し、国会などに兵力を投入した「非常戒厳」を巡る捜査は新たな局面を迎えた。戒厳について捜査する公捜処が取り調べのために18日、25日、29日と3回にわたって求めた出頭要請に尹氏が応じなかったことから、地裁は強制捜査の必要性を認めた。令状は1月6日まで有効。公捜処関係者は12月31日、いつ令状を執行し、身柄拘束に踏み切るのかに関し、「現段階で申し上げられることはない」と説明した。

尹氏の弁護団は「公捜処に内乱容疑を捜査する権限はない」と主張。31日には、令状発付は「違法で無効だ」として効力停止を求める仮処分などを憲法裁判所に申し立てる方針を明らかにした。

検察は31日、国会への軍部隊投入を指揮したり、与野党トップらの拘束を指示したりしたとして、2人の軍司令官を内乱重要任務従事などの罪で起訴した。

一方、尹氏と韓悳洙首相の弾劾訴追を受けて大統領権限を代行する崔相穆経済副首相兼企画財政相は31日、尹氏の弾劾審判を行う憲法裁判所で空席だった判事2人を任命した。9人体制の憲法裁は3人が空席で、任命を保留した韓氏を野党が弾劾訴追に持ち込むほどの対立を生んでいた。残る1人の任命は保留した。

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