国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止)は28日、所得税が生じる「年収103万円の壁」の引き上げ幅を巡って、政府・与党が提示する税収減の見込み額について疑問視した。来年度税制改正に関する政府資料を挙げて「少し違った姿が見えてくる。減収額が31%に大幅に減少している」と指摘し、「当初の『8兆円』の減収額とはあまりにも大きな乖離がある」とX(旧ツイッター)に書き込んだ。
国民民主党は、与党との協議で非課税枠の178万円への引き上げを主張。一方、政府・与党は国と地方で合わせて7兆~8兆円の税収減が生じると試算し、大幅な引き上げには慎重な姿勢を貫いてきた。与党が20日決定した来年度与党税制改正大綱では、123万円への引き上げにとどめている。
一方、政府が27日に来年度予算案を閣議決定した際に提出した資料によれば、控除額を123万円に引き上げた場合の減収額は、税制改正が1年間を通じて効果を持った平年度ベースで計6580億円(所得税5830億円、住民税750億円)となる。1万円の引き上げで約330億円の減収となる計算だ。
玉木氏によると、当初、財務省側は、1万円引き上げるごとに平年度ベースで計1050億円(所得税500億円、住民税550億円)の減収になると説明していた。
双方を比較すると、1万円当たりの減収額は、31%に減少した形となる。玉木氏は「このやり方なら178万円への引き上げに伴う税収減は2・4兆円にとどまる。やればできる」と強調。178万円への引き上げについて「引き続き頑張りますので来年もよろしくお願いします」と投稿した。