立憲民主党は24日の党会合で、悪質ホストが女性客に高額な売掛金を負わせる問題を巡り、警察庁の担当者らと協議した。同庁は悪質ホスト問題を規制するため有識者検討会が作成した最終報告書を説明した。同庁は報告書をもとに来年1月の通常国会に風営法改正案を提出する方針で、悪質ホストの規制を訴えてきた立民議員や支援団体の関係者から歓迎する声が相次いだ。
「非常に意欲的」
「非常に意欲的で網羅的な内容だ。われわれも警察庁の動きを全面的にバックアップし、この状況を一刻も早く何とかしたい」
立民の杉尾秀哉参院議員は24日、国会内で開いた党内閣部会で、報告書をこう評価した。
報告書は、ホストが女性客の恋愛感情につけ込んで高額飲食させる営業手法▷脅して売掛金を取り立てる行為▷返済のために売春や風俗店勤務を求める行為▷スカウトがホストクラブに女性客を斡旋(あっせん)する行為ーなどへの規制の必要性に言及。罰則の引き上げも求めている。
警察庁の担当者は「卑劣なビジネスモデルを解体するため政府を挙げて取り組む。気持ちは立民や支援団体と同じだ」と述べ、最初はホストと名乗らず女性と接触して、SNSや電話での誘い文句が巧妙にマニュアル化されている実態などを説明した。
海外売春を含めて借金を回収するためのシステムも構築されているという。
「政府の対応変わった」
報告書では、報道などで使用される「色恋営業」といった表現は使わなかったという。担当者は「『色恋』表現は女性に落ち度があるようにとらえられる」と問題視し、「(悪質ホストは)度を越している。飲食ではなく借金漬けにすることが目的だ」と語った。
一方、党会合に出席した被害者支援団体「ぱっぷす」(NPO法人)の金尻カズナ理事長は、以前は女性客が被害を訴えても「自己責任」と指摘されるケースが多かったといい「本当に希望の持てる報告書」と歓迎した。
悪質ホストクラブに関するトラブルに対応する一般社団法人「青少年を守る父母の連絡協議会」(青母連)の田中芳秀事務局長は、「海外メディアは完全に『人身売買』ととらえて報道している。世界でみても異常な商売が行われている」と述べ、早期の法整備の必要性を訴えた。
昨年11月、悪質ホスト問題を初めて国会で取り上げた塩村文夏参院議員は、「最初はなかなか真正面から受け止めてもらえなかった」と振り返った上で、借金返済のため売春目的で被害女性が送り込まれる実態の規制を訴えた。警察庁の担当者も「国のあり方としてどうなのかとわれわれも思っている。遅らせることはできない」と述べ、外務省と連携して対応したい考えを示した。
悪質ホストクラブ問題への対応に取り組んできた党幹部は「1年前と政府の対応は180度変わった」と胸をなでおろした。(奥原慎平)