政府は次世代半導体の量産を目指すラピダスに対し、1千億円出資する方針を固めた。政府系機関の情報処理推進機構(IPA)を通じて出資する考えで、金融支援の枠組みなどを盛り込んだ次世代半導体への支援法案を年明けに取りまとめる。ラピダスは設備投資や当面の運転資金などの確保に向け、既存株主の追加出資などで総額1千億円規模の資本増強を民間企業に取り付けており、政府も同水準を出資して、次世代半導体の国産化を強力に後押しする。
経済産業省は令和7年度当初予算案で、先端半導体の研究開発や生産に対する支援として3328億円を計上する方針。このうち1千億円をラピダスへの出資に充てる。
経産省は25日に次世代半導体の支援法案について議論する有識者会議をスタートした。出資や劣後債の引き受け、民間金融機関からの融資への債務保証といった金融支援について枠組みを固める。法案は7年の通常国会への提出を目指す。
法案には事業への透明性を高めるため、支援する事業者の審査や計画の進捗を有識者会議で監視する仕組みなども取り入れる。出資で政府の関与が一段と深まるため、過度な経営への介入回避や適切なガバナンスを確保できるように株式の議決権の制限などについても詳細を詰める。
武藤容治経産相は25日の会合で、次世代半導体について「我が国の産業の未来や将来の経済成長の命運を担う最重要技術だ」とした上で、「諸外国が大胆な支援を展開する中、我が国においても大規模かつ戦略的に重点支援を行う必要がある」と強調した。
ラピダスは北海道千歳市に次世代半導体の工場を建設中で、7年に試作を開始し、9年の量産を目指している。政府はこれまで9200億円の研究委託費の拠出を決定。さらに11月に決定した総合経済対策にはラピダスを念頭に12年度までにAI・半導体支援に10兆円以上を投じる計画を示している。