【パリ=三井美奈】フランスのマクロン大統領は13日、中道与党「民主運動」のフランソワ・バイル議長(73)を新首相に任命し、組閣を要請した。下院の内閣不信任決議で5日に辞任したバルニエ首相の後継者となる。少数内閣による不安な政権運営が続く。
マクロン氏は保守系のバルニエ氏に代わり、中道のベテラン政治家バイル氏を起用することで社会党や環境政党など中道左派の協力を固め、2025年予算案を可決させたい構え。極右「国民連合」、左翼急進派「不屈のフランス」の「両極」を中道勢力から切り離す狙いがある。
バイル氏は仏南部ポーの市長。1990年代、保守派のシラク政権で国民教育相を務めた。2017年の大統領選でマクロン氏を支持。第2与党党首として同年、司法相に就任したが、秘書給与をめぐる不正疑惑が浮上し、約1カ月で退任した。25年予算案はバルニエ内閣不信任決議で廃案となっており、バイル氏はつなぎ予算案を可決させることが当面の課題となる。
バルニエ内閣は緊縮型予算案を編成し、下院で強行採択させた。これに対し、左派が結束して内閣不信任案を提出。国民連合が相乗りした。マクロン氏の与党は22年の総選挙後、下院で過半数を割り込んでいる。
マクロン氏は5日のテレビ演説で、バルニエ内閣総辞職による政局混乱は「極右と極左が結束した」せいだと批判。自身は、27年に大統領任期が終わるまで辞任しないと宣言した。