空き時間に働くことができる「スキマ(隙間)バイト」の求人募集アプリは、手軽さも手伝って利用者が急増している。一方で、闇バイトとの関連が疑われる不審な求人が公開されるなどサービスが犯罪に悪用される危険性も指摘されてきた。
先月上旬、900万人超が登録する仲介事業者「タイミー」(東京都港区)のアプリ上で、「深夜の散歩が好きな方必見!夜道で猫を探すバイト」という求人が公開された。業務内容は「指定された道を通り、猫がいたところを地図上で印をつけるだけ」で、午前1時半~同4時半の3時間の作業で報酬は7500円。注釈で「情報漏洩防止のため、携帯電話や荷物を預かります」などと書かれていた。
闇バイトでは、強盗や特殊詐欺の実行役などを高額報酬をうたって、交流サイト(SNS)上などで募るケースが少なくない。大手求人サイト上でも掲載が確認されたこともある。
タイミーによると、これまで求人内容は、公開前から公開後の勤務日までに内容を確認していたとし、事業者の審査体制を段階的に強化してきたという。ただ、過去には営業許可証といった公的書類を未提出でもアカウントが登録可能だった上、審査終了前でも求人を公開していた。「猫探し」の案件の求人側も公的書類が未提出だったという。タイミーは速やかにこの案件の求人を削除した。その上で11月末時点から求人公開前に全件を確認する体制を新たに始めた。
面接なしで働ける手軽さから、スキマバイトの利用は急速に広がっている。仲介事業者でつくる業界団体「スポットワーク協会」(中央区)によると、タイミーなど主要4社のアプリ登録者数は、10月時点で延べ2千万人。政府も仲介事業者に不正利用への対策強化を繰り返し求めてきた。
6日に厚生労働省で開いた記者会見で、タイミーは不適切と疑われる求人が掲載されたと認めた。小川嶺社長は「不適切な案件に関して掲載がされたことは事実で、大変重く受け止めている」とした上で、「疑わしい求人を徹底的に排除することを強く掲げ、今後も安心安全に働ける社会に貢献したい」と話した。(王美慧)