岸田文雄首相(自民党総裁)が14日、9月の次期総裁選に立候補しないと明言した。20日には総裁選挙管理委員会が2回目の会合を開き、告示や投開票など具体的な日程を決める予定だ。前回総裁選では日程確定日に岸田首相が出馬会見を開いており、現職総裁の不出馬表明を号砲に「ポスト岸田」候補たちの動きが加速しそうだ。
茂木敏充幹事長は14日、「内政、外交両面で確かな実績を残してきた。不出馬を表明されたことは極めて残念。首相ご自身の判断を重く受け止めたい」とのコメントを発表した。総裁と党運営の責任を共有する現職の幹事長として、次期総裁選への出馬の有無が注目されている。
高市早苗経済安全保障担当相は、産経新聞の取材に「月末に向けて、来年度予算の概算要求もあるので、閣僚として最後まで首相をお支えしたい」と答えた。出馬表明の時期について周辺は「20日」を目途にしていたが、首相が不出馬を明らかにしたことで早まる可能性がある。
小林鷹之前経済安保担当相は岸田政権の原発再稼働などを評価し、「党が生まれ変わったと思ってもらえるような改革努力を議員一人一人が受け継いでいかなければならない」とするコメントを発表した。
3氏に加え、次期総裁候補に名前が挙がる石破茂元幹事長や小泉進次郎元環境相、河野太郎デジタル相らも対応を急ぐ構えだ。石破氏は14日、前回総裁選で連携した小泉氏や河野氏との調整を示唆。訪問先の台湾・台北市内で記者団に「どうすれば自民が信頼を取り戻せるかについて3人で話し合いをする機会もあるだろう」と述べた。
一方、東京・赤坂の衆院議員宿舎では14日、小泉氏と近い菅義偉前首相らが出入りする姿が確認された。立候補に必要な推薦人確保の見通しや、情勢などについて意見交換したとみられる。
自民幹部は首相の不出馬表明により、「『われこそは』と準備ができている人たちは誰でも手を挙げやすい環境になった」と指摘。党勢回復に向けて「『ろくな候補がいない』と思われないような総裁選にできるかが問われている」とも強調した。(内藤慎二、台北 西見由章)