「男性専用車」登場 知ってほしい痴漢冤罪の不安 18日に都電荒川線

過去のイベントで運行した「男性専用車両」の様子。自作したステッカーを窓にはったという(日本弱者男性センター提供)
過去のイベントで運行した「男性専用車両」の様子。自作したステッカーを窓にはったという(日本弱者男性センター提供)

11月19日の国際男性デーを前に、NPO法人「日本弱者男性センター」が18日、東京さくらトラム(都電荒川線)を借り切って、「男性専用車両」を走らせる。「異性からの性被害」や「痴漢の冤罪(えんざい)被害」など男性も電車内で不安や恐怖を抱えていることを社会に伝えるイベントで、担当者は「趣旨に賛同してもらえるなら性別問わず乗車できる。真の男女平等を考える機会にしてほしい」と呼びかけている。

昨年の国際男性デー、父の日にちなんだ今年6月に続き、今回が3回目となる「男性専用車両」の運行。

主催する同センターは、社会的に弱い立場にいる男性を支援するために結成された団体だという。

「日本は〝男性優位社会〟といわれ、女性や子供、高齢者が弱い立場にあるとされますが、男性の中にも病気を抱えていたり、経済的に苦しかったりして支援を必要とする人はいる。でも、『男だから大丈夫だろう』と理由で、支援を求めても断られる現状があります。そういう弱者男性を支えたい人や、支えてもらいたい人が集う団体です」と同センターの広報担当は説明する。

同センターには、妻からのDV(家庭内暴力)に関する相談なども寄せられるといい「男性の中には、周囲に女性がいないことで安心感を覚える人もいる」という。

無意識の思い込みに気がついて

男性専用車両という取り組みは、「男性は常に女性に対して優位」とか「性被害の加害者は常に男性」といったアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)に気づく仕掛けで、同センターが目指す社会は「男女の分断でも、弱者男性だけの保護でもない。そこは誤解してほしくない」と強調する。

というのも、昨年11月に初めて「男性専用車両」の運行を企画した際には、趣旨が十分に伝わらないままメディアで大きく取り上げられて、「男性優位社会を助長する」「女性をないがしろにしている」といった批判を浴びたからだ。

「『男性は電車内で性被害に遭わない』『男性が不安を抱えているはずはない』といった思い込みが社会に根強いことを痛感しました」と同センターの広報担当は振り返る。

同センターは「女性が安心して電車に乗れるために、『女性専用車両』は絶対に必要」という立場を堅持する。ラッシュアワーのみならず、「終日『女性専用車両』が確保されるべきだ」ともいう。

女性の不安はもちろん理解していて、だからこそ同様に「世の中には、女性が加害者となる男性の性被害もあるし、少なくない男性が痴漢の冤罪を恐れながら乗車していることも知っておいてほしい」と訴えている。

イベント参加希望者は18日午後12時45分までに、三ノ輪橋駅(東京都荒川区)に集合。乗車人数は約30人。希望者多数の場合は先着順。三ノ輪橋駅午後1時発、終点の早稲田駅(東京都新宿区)午後1時50分着の車両が対象。

イベントの問い合わせは同センターまで [email protected]

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